2016年7月25日(月)
自衛官応募 3年連続減
戦争法強行の影響も 人的基盤を自ら壊す
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第2次安倍政権が発足した2012年度以降、自衛官の定員(約24万7000人)のうち約8割を占める「自衛官候補生」「一般曹候補生」への応募者数が3年連続で減少していることが、防衛省への取材で分かりました。
防衛省によると、最も下の兵にあたる階級である任期制自衛官(2士、1士、士長)となる「自衛官候補生」の応募者数は、15年度は男子2万4652人、女子3485人(19日現在)。12年度と比較すると各5088人、813人減少しています。
また、現場責任者ともいえる非任期制の「曹」(下士官)になる「一般曹候補生」の15年度の応募状況は2万5092人。12年度から9031人減と大幅に減少しています。
さらに、幹部を育成する防衛大学卒業生が自衛官以外の道を選ぶ「任官拒否率」の人数も4年連続で増えています。
防衛省は、こうした背景について、少子高齢化や、「アベノミクス」による「雇用の改善」などを挙げています。しかし、安倍政権の下で進む集団的自衛権の行使容認の「閣議決定」(14年7月)、自衛隊の海外任務を大幅拡大する戦争法=安保法制の強行の影響を見逃すことはできません。
日本労働弁護団が戦争法の成立直前(昨年9月15日)に行った緊急相談では、息子が防衛大に通う母親から「このまま(息子が)自衛隊に入隊してもいいのか心配。防衛大内でも不安に思う人が多いようだ」などと、自衛隊関係者の身内から複数の声が寄せられました。
自衛隊は1990年代以降、海外派兵の強化で任務が拡大し、個々の自衛官の肉体的・精神的な負担は年々増す状況です。そこに加えて戦争法が具体化されれば、自衛隊の海外任務は大幅に拡大し、生命にかかわる危険が増大します。
安倍政権は「戦争できる国づくり」に突き進む一方で、自衛隊の人的基盤を自ら壊している可能性があります。
(吉本博美)
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