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2016年7月24日(日)

東京の異常な教育行政変える好機

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 凶暴ともいえる「君が代」強制、少人数学級への冷淡…東京の教育行政には全国に例を見ない異常さがあります。今回の都知事選はそれを変える好機です。

 異常のはじまりは1999年の石原慎太郎都知事誕生。東京都教育委員会上層部が入れ替わり、2001年に都の教育目標から「憲法」が消え「日本人の育成」にとってかわりました。

 石原都政2期目の2003年、せきをきったように荒れ狂います。性的被害にあいやすい知的障害の生徒のための性教育をすすめた校長らを処分(その後、裁判所は都教委を断罪し処分は撤回、自民党とともに攻撃をしかけた民主党都議は別件で除名)。卒業式、入学式も一変させました。

凶暴な「君が代」強制

 共通するのは、自分が絶対正しく異論はとことん許さない偏狭さでした。例えば「君が代」強制は次のようです。

 通達で「日の丸」は舞台壇上正面と命じ、卒業制作を置くことは禁じられました。児童生徒は舞台正面を向くとされ、卒業生と保護者が見つめ合う対面式も禁じられました。卒業証書授与は壇上に限定され、肢体不自由の子どもは必死で壇上にのぼらさせられました。命令通りにやっているか、黒いスーツ姿の多数の役人が監視にやってきます。

 「君が代」を無理やり歌わせるため、抵抗する先生たちを徹底的に処分しました。式は1年に2回、処分回数は雪だるま式にふえます。すると処分内容がどんどん重くなります。重圧で心を病み、体調を崩すまじめな先生たち…。

 都の重すぎる処分は最高裁で不当だと判示されました。処分者のみ再雇用を認めないやり方も高裁で断罪されました。それでも、都教委は自分たちが正しいと思っているようです。

 被処分者は「服務事故再発防止研修」をうけます。この7月、ある先生が勤務校で授業の合間にその研修を受けるよう命じられました。ところが直前に、校外の研修センターに出かけて研修せよと命じ直します。「それでは授業ができなくなる、時刻を少しずらせば授業できる」と申し入れますが、拒否されます。

 上意下達の学校運営は自由闊達(かったつ)な教育実践に冷や水をあびせます。学級通信さえ管理職のはんこが必要な日常は、先生から教育者としての矜持(きょうじ)と人間味を奪います。どれほどの教育者の魂がふみにじられたのでしょう。最大の被害者は子どもたちです。

少人数学級への冷淡

 ことは教育条件にも及びます。たとえば少人数学級。ほとんどの自治体が少人数学級は学力・生活の両面で効果ありと推奨しているのに、都教委は「学級規模の大小と学力、問題行動などとの相関について明確な結論は出ておりません」(2月16日都議会)と冷淡です。他の道府県は、国からの加配教員を少人数学級実施に活用しますが、東京だけ認めず、もっぱら習熟度別学習に使わせます。「予算があれば少人数学級がいいですよね」という、全国で通用する会話が、もっとも財政力のある東京で通用しません。

 石原氏は2004年、東京の教育をこう述べました。「5年、10年たったら、首をすくめて眺めている地方は、全部東京のまねをするでしょう。それが東京から日本を変えること」。日本を変えるとは、ずばり改憲のことです。

 「首都から改憲の流れをとめる」「都政に憲法を生かす」という鳥越俊太郎都知事の誕生で、教育行政の流れも変わります。その勝機が野党と市民の共闘でつくられつつある今、子どもと教育への思いのたけを鳥越氏勝利のために使う時です。(日本共産党文教委員会責任者 藤森毅)


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