2016年7月22日(金)
“憲法停止”で共鳴
小池百合子氏と石原知事(2000年)
首相には「緊急事態条項」の手順伝授
東京都知事選(31日投票)に立候補した小池百合子元防衛相が、現行憲法の効力「停止」や「廃止」を主張し、国民の基本的人権を制限する「緊急事態条項」創設の手順まで政府に“伝授”していたことが、衆院の会議録でわかりました。
2000年11月30日の衆院憲法調査会で、当時保守党所属議員だった小池氏は、参考人の石原慎太郎東京都知事(当時)が現行憲法を「歴史的に否定すること」こそ国会がすべきことだと主張したのに呼応し、「結論から申し上げれば、いったん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく」ことに「基本的に賛同する」と表明しました。
その後、自民党に移った小池氏は、民主党政権時の12年7月9日の衆院予算委員会で、当時の野田佳彦首相に、「国防軍」保持や「緊急事態条項」創設を盛り込んだ自民党改憲草案の「丸のみ」を要求。
15年2月19日の同委で小池氏は、「緊急事態」に関する改憲について安倍晋三首相の「イメージ」を質問。首相は、改憲原案は国会が発議するもので、党総裁として「最終的に判断する」と答弁するにとどまりました。
これに対し小池氏は「(緊急事態についての改憲は)83条、財政の条項からまずやってみたらどうか」と発言。国民投票法=改憲手続き法は整ったばかりで、国民は一度も改憲の投票をしたこともないとして、「いきなり“全部のメニューを最初から”というよりも、(国会の改憲発議要件を定める)96条よりも、私は83条から始めるべきではないかと思っている」と提案しました。小池氏の狙いは、「非常事態」時の財政上の憲法規定の見直しを“入り口”として、国民の警戒感を和らげ、その後「全部のメニュー」=本格的改憲につなげようという国民だましの手法にほかなりません。