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2016年7月22日(金)

辺野古新基地訴訟

追い詰められた安倍政権 泥沼の裁判闘争へ突入

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 「今後も裁判で争えば、国が勝ったとしても、延々と法廷闘争が続く可能性がある」―。辺野古新基地をめぐる国と県の訴訟で双方が合意した和解勧告文はこう警告しているにもかかわらず、安倍政権は再び裁判闘争(違法確認訴訟)に突入しました。

 (竹下岳)


 国は昨年秋、沖縄県の翁長雄志知事が辺野古の埋め立て承認取り消しを行ったのは違法だとして福岡高裁に提訴しました。

 国は当初、高裁が今年の春にも訴えを認め、埋め立て承認の効力を回復できる見通しを描いていましたが、福岡高裁那覇支部は和解を勧告。国は訴えを取り下げ、辺野古の工事も停止し、いっさいの機材を海上から撤去するところまで追い込まれました。

 それでも国は再び、県に対して埋め立て承認取り消しを撤回するよう是正指示を出しました。県はこれを不服として、総務省の国地方係争処理委員会に審査を申し出ました。国側は(1)係争委が国側に有利な判断を行う(2)これを不服として県が提訴(3)裁判で県が敗訴―というシナリオを描いていました。

 しかし、ここでも係争委が県の申し出に対する判断を下さず、「真摯(しんし)な協議」を求めたことで目算は大きく狂いました。

 加えて、今月10日の参院選沖縄選挙区で辺野古新基地建設を許さない「オール沖縄」の伊波洋一氏が圧勝。法的にも政治的にも、安倍政権は追い詰められたのです。そうした中での暴走が、今回の新たな提訴表明です。

 安倍政権は、来年春までに最高裁で県の「違法」が確定するシナリオを描いています。しかし、福岡高裁那覇支部は再び和解勧告を出す可能性もあります。

 仮に国側が勝訴して埋め立て承認取り消しの効力が失われても、翁長知事には(1)埋め立て承認「撤回」(2)設計変更承認―などの権限が残されており、これらを行使すれば工事の再開は困難です。国はそのたびに県を提訴し、泥沼の裁判闘争にならざるをえません。

 福岡高裁那覇支部も係争委も話し合いによる解決を求めています。政府はこれを正面から受け止め、不毛な裁判闘争はやめるべきです。

 違法確認訴訟 国が地方自治体に対して是正要求をしたにもかかわらず、それに応じた措置を何もとらない(不作為)場合、国は地方自治法251条の7に基づき、違法確認訴訟を提起することができます。国が高裁に提訴して15日以内に第1回口頭弁論が開かれます。

 国・県のいずれかが高裁判決に不服の場合、最高裁に上告し、判決が確定します。違法が確認されれば、当該自治体は「判決の趣旨に従って」処分・裁決が義務付けられます。

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