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2016年7月21日(木)

生活援助など切り捨て

介護保険部会 「命守れない」批判続出

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 参院選後初めての社会保障審議会介護保険部会が20日開かれました。厚労省は、軽度者とされる「要介護1・2」の人に対する生活援助などの在宅サービスと、車いすなどの福祉用具貸与や住宅改修について、自己負担増や給付見直しを提案しました。委員から「高齢者の生活と命が守れなくなる」と批判が相次ぎました。

 厚労省は、訪問介護で行われている生活援助について「介護に関する知識、技術をそれほど有しないものでもできる」と指摘。昨年から進められている「要支援1・2」のヘルパー・デイサービスの保険給付外し(保険給付から市区町村による地域支援事業への移行)に続いて、生活援助以外の介護給付・予防給付についても「給付外し」を進める考えを示しました。ただし、給付見直しや負担増の具体案については示しませんでした。

 これに対し委員からは「介護度だけで判断するのは性急だ。サービスを外せば、重度化が進み、命にかかわる」(認知症の人と家族の会)、「地域支援事業へ移行した自治体はまだ3分の1だ。検証もできない段階で次へ進むことを危ぐする」(全国老人クラブ連合会)と批判が続出しました。

 福祉用具貸与の見直しについても「ますます負担増となり、制度への信頼を失う」(認知症の人と家族の会)との意見が出ました。


解説

「介護離職ゼロ」は まやかし

 厚生労働省が介護保険のさらなる給付減と負担増を打ち出したことは、安倍政権が掲げる「介護離職ゼロ」のまやかしを示すものです。

 同省は具体案を示さなかったものの、財務省は、「要介護1・2」の在宅サービスを保険給付から外し、生活援助や福祉用具貸与を「原則自己負担」にする▽「要介護1・2」のデイサービスを地域支援事業化する▽介護保険の利用料を一律2割負担とする―などの大改悪案を求めています。

 要介護者の多数を占める「要介護1・2」の人は昨年、特別養護老人ホームの入所枠から締め出されたばかりです。生活援助や福祉用具まで保険給付から外されると、施設でも在宅でもサービスを受けられない「介護難民」が大量に生みだされ、「介護離職ゼロ」など絵に描いたもちになることは明らかです。

 生活援助は単なる家事代行ではありません。サービスを通じて高齢者の状態を把握し、生活と人権を支える専門サービスです。福祉用具貸付とともに、充実こそ求められています。

 安倍内閣は昨年、「要支援1・2」の人が利用するヘルパー・デイサービスの保険給付外しを実施したばかりです。すべての高齢者から介護保険料を徴収しながら、「要介護1・2」まで保険給付から除外することは、介護保険導入を主導した厚労省元幹部も「国家的詐欺」といわざるをえない暴挙です。耐え難い給付減と負担増を押し付け、制度を空洞化させる大改悪は撤回するしかありません。

 (深山直人)


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