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2016年7月21日(木)

主張

最低賃金引き上げ

中小支援し、時給千円直ちに

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 労働者をそれ以下の賃金では働かせてはならないと定めた最低賃金の今年度の改定の目安が、中央最低賃金審議会で近く決定されようとしています。現在の最低賃金は全国平均で時給798円で、1日8時間、1カ月20日間働いても13万円足らずにしかならず、安心して生活できるためには大幅引き上げが不可欠です。異常な長時間労働や「働く貧困層」と呼ばれるワーキングプアをなくしていくためにも最低賃金の引き上げは急務であり、大企業に賃上げを実現させるとともに、中小企業への手厚い支援が求められます。

健康で文化的な生活に

 最低賃金は、法律(最低賃金法)で、「賃金の低廉な労働者」に「賃金の最低額を保障」するとし、「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と明記されているものです。現在の最低賃金は全国一律でなく地域ごとに決まっているため、中央の最低賃金審議会が各年度の改定の目安を決めた後、各都道府県の審議会で決定します。

 地域別の最低賃金はこれまでの法律改正で「地域における労働者の生計費及び賃金」を考慮し、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」定めなければならないと明記されました。しかし同時に「支払い能力を考慮して」とされているため、大幅引き上げとともに、規定を改めさせることが課題です。

 全国平均で798円という最低賃金が、とても「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものでないのは明らかです。全国各地で労働者が最低どれぐらいで暮らせるか最低生計費を調査していますが、年間250万円から300万円必要というのが大半です。年間1800時間労働で換算すれば時給1400〜1500円になり、現行の最低賃金では満足に暮らせないのは明らかです。

 安倍晋三首相は参院選後、経済財政諮問会議で今年度の最低賃金の改定は「3%の引き上げへ最大限の努力を」と指示しました。最低賃金を毎年3%ずつ引き上げても時給1000円に届くのは2023年までかかります。20年までに時給1000円を目指すとした政府目標さえ達成できず、この程度の改善では労働者の生活を立て直すことはとてもできません。

 最低賃金は1500円をめざし、今すぐどこでも1000円を目標に、大幅引き上げと全国一律の最低賃金制の実現に取り組むべきです。引き上げに合わせ、最低賃金ぎりぎりで働かされている非正規労働者の賃金改善が必要です。

中小企業への大胆な支援

 日本弁護士連合会の資料によれば、世界の主要国の最低賃金はフランスが1219円、イギリスが1151円、アメリカでも1688円(15ドル)に引き上げる動きが広がっているなど、日本の低さが際立っています。

 中小企業が多い日本の最低賃金の引き上げには、大企業の下請けいじめや「規制緩和」による過当競争をやめさせるとともに、中小企業への助成が不可欠です。最低賃金引き上げに合わせ、アメリカでは中小企業減税、フランスでは社会保険料の負担軽減などが行われました。日本でも中小企業支援の抜本的拡大が最低賃金引き上げを実現するうえで求められます。


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