2016年7月20日(水)
米兵、中学で「新兵訓練」
東京・横田基地 生徒の迷彩顔写真 HPに
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米空軍横田基地(東京都)に所属する米兵が東京都内の中学校の行事に参加し、「新兵訓練」(ブート・キャンプ)と称したイベントに生徒を参加させていたことが分かりました。
これまで都内では、「防災訓練」と称して高校生を自衛隊の訓練に参加させる事例がありましたが、米兵が学校に直接出向くのは前代未聞です。
米空軍は横田基地のホームページ上に学校名を明記した上で、兵士が戦場で使用する迷彩用顔料(ドーラン)を塗った生徒一人ひとりの顔がはっきりと分かる写真を10枚以上掲載。そのうち数人は氏名まで判別できます。子どもたちを米軍の宣伝に使用しており、重大な人権侵害のおそれがあります。
横田基地のホームページによれば、今月2日、同基地を抱える武蔵村山市内の中学校で開催された定例の行事に、同基地に所属する第374医療群の米兵数人が参加。3年生30人以上に対してドーランの塗り方や敬礼、ほふく前進などを教えたと記されています。
記事中、現場責任者とみられる米兵自身が「私が知る限り、軍と地域の生徒との交流が許された唯一のプログラムだ」と驚きます。さらに、この米兵は「(このイベントが)われわれの日本駐留に前向きな光を与える」と発言。首都東京に居座り続けるための宣伝の一部であることを認めています。
教育の場利用した宣伝 許さない
学校行事に軍服を着た米兵が参加し、「新兵訓練」と称したイベントに子どもたちを参加させ、その写真を米空軍の公式ホームページに掲載して地域住民との“良好”な関係をアピールする(1面報道)前代未聞の事態が明るみに出ました。
在日米軍基地の多くは市街地に隣接しており、爆音や事件・事故などが絶えず摩擦を抱えています。横田基地を抱える武蔵村山市民も基地から発生する騒音や航空機部品の落下などの事故に苦しめられており、昨年5月には、同基地を抱える5市1町の首長が連名で、墜落事故が相次ぐCV22オスプレイの配備発表に「遺憾」を表明しています。学校もこうした騒音や事故の危険に、日常的にさらされています。
沖縄県では、同じ空軍の嘉手納基地所属の米兵による女性暴行事件など、凶悪犯罪が相次いでいます。
軍事基地は本質的に住民生活と相いれない存在です。米軍もそのことを理解しており、さまざまな機会を利用して住民と接触を図り、“理解”を得ようとしています。しかし、学校教育の場を利用しての宣伝は許されません。
いま、日米両政府はオスプレイ配備やF35ステルス戦闘機の整備拠点化、パラシュート降下訓練の常態化など、横田基地の異常な強化を進めています。このような中、自治体や学校側も、基地との接し方を再考する必要があります。
(竹下岳)