2016年7月18日(月)
沖縄基地 安倍政権 もはや独裁 民意も司法も無視
高江ヘリパッド22日にも建設着工
安倍政権が沖縄県民に再び、牙をむいて襲いかかっています。直近の参院選で示された民意も、当面の基地建設中止を求めた司法判断も無視し、やりたいようにやる―。もはや独裁政権といわざるをえません。
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11日早朝、政府は突如、東村高江の米軍ヘリパッド(着陸帯)建設に着手しました。住民の抗議を力ずくで押さえ、米軍北部訓練場内に資材を次々に搬入。早ければ22日にも着工する構えです。
前日に投開票された参院選沖縄選挙区では、新基地建設を許さない「オール沖縄」の伊波洋一氏が現職閣僚の島尻安伊子氏に10万6400票差で圧勝したばかりでした。選挙の民意など無関係に「工事の準備が整った」(菅義偉官房長官)からやる、という姿勢です。
さらに政府は14日に開かれた国と沖縄県との作業部会で、(1)辺野古新基地の陸上部の作業を再開する(2)辺野古の埋め立て承認取り消しの違法確認訴訟を検討する―との考えを提示しました。
しかし、福岡高裁那覇支部が提示し、3月4日に成立した県と国の和解条項では、新たな司法判断が下るまで「埋め立て工事をただちに中止」することを明記。「陸上部は対象外」という理屈は通用しません。
この強権ぶりは、単に沖縄だけの問題ではありません。「国家に逆らうことは許されない」―。沖縄を見せしめにして、全国民をどう喝しているのです。こんな安倍政権の下での憲法改悪は絶対に許されません。
基地たらい回し破たん 無条件撤去への転換を
同時に、この強権ぶりの背景には、1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意から20年たっても、思うように進展していないことへの焦りがあります。
SACO合意では11施設の全面・部分返還で合意。しかし、実現したのは5施設だけで、しかもすでに遊休化していたり、小規模な通信基地ばかりです。(表)
進展しない最大の要因は、いずれも「移設条件」付きだからです。中でも、普天間「移設」=辺野古新基地建設は県民と翁長県政の抵抗により、事実上不可能と言える状況にまで追い込まれています。
高江のヘリパッド建設もSACO合意での北部訓練場「過半返還」の条件です。政府は今後、合意された6カ所のうち4カ所の工事に着手するかまえですが、これらの建設予定地はいずれも密林の中にあり、工事車両が通行する道路もありません。道路建設自体、相当な難工事です。住民や県民の粘り強い抵抗もあります。
沖縄県民の民意は、すでに辺野古新基地建設反対にとどまらず、高江のヘリパッドを含め米海兵隊の撤退にまで高まっています。政府は悪あがきをやめ、基地たらいまわし路線はすでに破たんしたという現実を直視し、無条件撤去へ転換すべきです。
(竹下岳)
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