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2016年7月14日(木)

南スーダン武力衝突

防衛相、深刻な実態を無視

自衛隊を危険に追いやる

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 PKO(国連平和維持活動)で自衛隊が派遣されているアフリカ・南スーダンの首都ジュバで6月28日に発生した武力衝突は、270人以上が死亡し、国連PKOでも中国軍兵士1人が死亡したと報告されています。

 戦車や武装した装甲車が走る映像がテレビでも映し出され、国連の報告などでは戦闘用ヘリコプターやロケット砲など重火器が使用されたとされています。こうした武力衝突について中谷元・防衛相は、「散発的な発砲事案」とするのみで、自衛隊の撤収は考えないとしています(12日の記者会見)。

 中谷防衛相は、自衛隊員がヘルメットや防弾チョッキを装備し、「隊舎内で待機」としつつ、JICA(国際協力機構)職員など邦人退避のための陸送で自衛隊が外に出る可能性を否定していません。

 これを「散発的発砲事案」と繰り返す中谷防衛相―。政府軍と反政府軍が、国の首都で衝突し、PKO兵士を含む大量の死者・負傷者を出し、国連保護施設に大規模に避難民が押し寄せるという深刻な実態を、意図的に軽くあらわす言い方です。

 記者団からは、「副大統領派の報道官が『内戦状態だ』と言っている。大きな認識の違いだ。『発砲事案』という言葉はおかしくないか」と反論されています。

 中谷防衛相は「武力紛争ではない」と繰り返し、「反政府軍のマシャール第一副大統領が敵対行為の停止を命令し、大統領も同じように(政府軍に)戦闘の停止を訴えており、両者間の全面的な対立ではない」「武力紛争ではない」と弁明しています。

 こうした説明は、国もしくは国に準ずる規模をもった組織による計画的な武力紛争だけが「武力紛争」だという、政府の“狭い定義”にあてはめているだけです。大統領や副大統領が「停止を命じた」と強調するのは、国レベルの大がかりな軍事行動を伴った組織性計画性を“否定”するためです。

 これは国の混乱・騒乱状態の中で、どんなに大規模な武力衝突が起きても「問題なし」となりかねない空論です。自衛隊を「殺し、殺される」重大な危険に追いやるものです。

(中祖寅一)


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