2016年7月8日(金)
なるほど!論戦ポイント!
年金資産が株で大損
安倍首相 収益水増し無反省の姿勢 国民には給付減押し付け
公的年金の資産運用で2015年度に5兆円の巨額損失を出した問題で、安倍晋三首相は「安倍政権の3年間で37・8兆円の運用収益が生まれました。仮に5兆円の損失があったとしても、十分な収益が確保されています」(フェイスブック)と言い訳しています。これは運用収益をごまかしたものであり、株式偏重の運用見直しで巨額損失をだしたことに無反省な姿勢を示したものです。
第2次安倍政権が発足したのは12年12月26日です。13年1〜3月期から15年10〜12月期まで3年の運用益は32兆6294億円です。安倍首相のいう37・8兆円は、これに民主党政権時代の12年10〜12月期の5兆1352億円を加えたもので“運用収益の横取り”です。
株式運用は当たれば大きな利益がでる半面、失敗したときの損失も巨大です。これまでも、07〜08年の金融バブル崩壊、世界経済危機(リーマン・ショック)の際には、わずか1年9カ月に株式で20兆円近い損失をだしています。
ところが、安倍政権は、アベノミクスによる株高を演出するため、14年10月に運用資産の株式比率を25%から50%へと倍増。リスクをさらに拡大し、今回の失態を招いたのです。株式比率を倍増させた14年10〜12月期からみると、収益はほとんど消えてしまっています。巨額損失に対する安倍政権の責任は重大です。
さらに、英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響で、16年4〜6月期も5兆円の損失になっているとの試算も出ています。国民には給付減と保険料引き上げを押し付けながら、国民の年金資産を「ギャンブル」に投じる安倍政権に厳しい審判が必要です。