2016年7月8日(金)
社会保障 選挙後に再び大改悪狙う
「国家的詐欺」に厳しい審判を
論点 2016 参院選
「私たちはしっかりと子育て支援の拡充を、介護の拡充をちゃんと図ってまいります」
参院選で大きな関心事になっている社会保障について、安倍晋三首相が遊説で語るのは、たったこれだけです。
「自然増」を削減
なぜ語らないのか。それは、安倍晋三政権が小泉「構造改革」を上回る社会保障の切り捨てを進めてきたからであり、参院選後にもさらに切り捨てを進めようとしているからです。
安倍政権は、4年間で1兆3200億円もの社会保障費の「自然増」を削減。年金の連続削減、70〜74歳の医療費窓口負担の引き上げ、要支援者のヘルパー・デイサービスの保険給付外し、介護報酬の大幅削減、生活保護切り下げなど連続改悪を強行してきました。
安倍首相は「持続可能な制度のため」と正当化しますが、「下流老人」「医療難民」「介護難民」をつくる血も涙もない政治が許されるわけがありません。
安倍首相は、公約していた社会保障の「充実」策も、消費税10%の先送りを口実に「すべてはやれない」と先送りをねらっています。しかし、国民年金の受給資格期間の短縮、低年金者への給付金などを合わせても8000億円程度。新たな財源がないとできないものではありません。
増税の一部しか
そもそも、消費税増税8・2兆円のうち社会保障の「充実」に充てたとされるのはわずか16%、1・35兆円です。消費税の一部しか「充実」に回さないのに、わずかな財源でできる公約さえ先送りするなど言語道断です。
さらに安倍内閣は、今後も毎年3000億〜5000億円の「自然増」削減を決定。新たな年金削減、後期高齢者医療保険料引き上げ、「要介護1・2」向け生活援助の「自己負担化」などを参院選後にねらっています。
すべての高齢者から介護保険料を徴収しながら、保険給付から締め出すことには、介護保険導入を主導した厚労省元幹部も“国家的詐欺だ”といわざるをえないものです。
生存権を保障する憲法25条に反する社会保障の「自助・自立」を掲げる安倍内閣。「社会保障のため」といって消費税増税しながら、社会保障を削減する「国家的詐欺」に等しい暴走に厳しい審判が必要です。
(深山直人)