「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年7月8日(金)

英のイラク参戦誤り

独立調査委が報告書

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 【パリ=島崎桂】2003年に米英主導で始まったイラク戦争への英国の参戦を包括的に調査する独立調査委員会は6日、英国が「平和的な選択肢を使い尽くす前に軍事介入を決めた」とする報告書を発表しました。報告書は「軍事行動は最終手段ではなかった」として、参戦を決めた当時のブレア英首相(労働党)の判断を厳しく批判しました。

 イラク戦争は、同国による生物化学兵器など「大量破壊兵器」の保有を根拠に米英などが参戦しましたが、戦後の調査で大量破壊兵器は見つかりませんでした。イラクでは開戦後、多くの一般市民を含む数十万人が犠牲となり、英兵179人、米兵4500人以上が戦死しました。

 調査委のチルコット委員長は報告書の発表にあたり、ブレア政権がイラク政府の大量破壊兵器保有という「欠陥のある情報」を持ち、「正当化できない確信」に基づき参戦を決めたと指摘。「あらゆる(軍事)介入の全ての側面は、最大限厳しく算定し、議論し、異論を唱える必要がある」が、こうした措置は取られなかったと語りました。

 報告書ではまた、国連安保理決議を得ない参戦であり、「法的根拠は十分にはほど遠い」と批判しました。 (関連記事)

検証拒否 自公政権

 英国のイラク戦争参戦を検証した独立調査委員会の報告書は約6000ページにおよぶ膨大なものです。英国以外でも米国、オランダ、オーストラリアなどで検証が行われています。

 これに対して日本は12年12月、わずか4ページの検証結果概要を公表しただけで、報告書本体の公表は「各国との信頼関係を損なう」として拒否。イラク戦争支持についても誤りだったと認めていません。米国の無法なイラク戦争を支持し、自衛隊を派兵しておきながら、検証もしない自公政権の態度が問われます。

イラク参戦は改憲の源流 日本も公開検証を

 安倍政権はイラク派兵の検証を拒否するばかりか、イラク派兵での憲法の“制約”を突破しようと戦争法の具体化、憲法9条改悪へ突き進んでいます。

 2003年12月から5年におよぶイラク派兵は憲法と自衛隊との矛盾を極限まで激化させました。名古屋高裁は、空自による武装米兵空輸は「他国との武力行使との一体化」にあたり、憲法9条違反だと断定しました。一方、陸自は「戦闘地域にいかない」「武器使用は自己防護に限る」など、憲法上の“制約”により、1人の死者も出すことはありませんでした。

 日米同盟を「血の同盟」だと断言する安倍晋三首相はこれに強い不満を持ち、第1次政権(06年9月〜07年8月)から憲法解釈の変更や「戦地派兵」、他国軍の「駆け付け警護」などの実現に着手。昨年強行した戦争法に、その内容が盛り込まれました。

 ただ、戦争法で可能なのは兵たん支援までです。イラク戦争型の米軍の戦争に全面参加するためには憲法9条を全面改悪する必要があります。その意味で、参院選後に狙われている「安倍改憲」の源流はイラク派兵なのです。

 政府はイラク派兵の検証を公開の場で行い、その誤りを一刻も早く認めるべきです。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって