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2016年7月5日(火)

南スーダンPKOで調査報告

「民間人保護」で“武力行使ためらうな”

国連が交戦規定徹底へ

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 今年2月、国連の平和維持活動(PKO)の国連南スーダン派遣団(UNMISS)が設置した民間人保護施設が襲撃され、多数の死者が出た事件について、国連本部による調査結果がこのほど安保理に報告されました。UNMISSの平和維持部隊の対応が「不十分」で、武力行使の基準を定めた「交戦規定」(ROE)の「理解の欠如」があったと指摘しました。今後、各部隊にROEの徹底を図るとしており、現地に展開する自衛隊も含め、「民間人保護」のための武力行使にためらわずに踏み切るよう強い圧力がかかっています。

 同国北部マラカルでは、平和維持部隊の駐屯地内に民間人保護施設があり、武力紛争を逃れた国内避難民4万人を収容していました。2月17〜18日、同施設で発生した暴力衝突に南スーダン政府軍兵士が介入して襲撃し、少なくとも30人が死亡し、123人が負傷しました。

 報道によると事件当時、平和維持部隊にはエチオピア、ルワンダ、インドなどの兵士がいました。一部の兵士は施設のフェンスの警護を放棄し、別の国の部隊は武力行使を承認する文書が届くのを待ち、即座に反撃しなかったと調査報告書で言及されているといいます。

 国連安保理は6月22日、同事件の調査報告を受け非公開の討議を行いました。討議後に記者会見したエルベ・ラズース国連事務次長(平和維持活動担当)は「現地要員の一部に不十分な対応があり、ROEへの無理解があった」と指摘。「国連基地への致死的な攻撃に対し反撃しなかった一部の平和維持部隊と将校は、本国に送り返される」とまで述べました。

 同氏はまた、「トップから現場の2等兵まで、全員がROEを徹底的に理解するようにしなければならない」と指摘。部隊の交代の際には、「直ちに新たな人々が(ROEなどについて)訓練を受けるようにしなければならない」と述べました。

 PKOのROEは原則非公表ですが、現在UNMISSの平和維持部隊は、国連決議によって民間人保護のために「必要なあらゆる手段」の行使を認められています。

 現地の匿名の国連当局者や援助関係者の声として、国連部隊が断固たる武力行使で民間人を保護していないことへの批判が報じられています。一方で、国連部隊が政府軍兵士への本格的な武力行使に出た場合、事態が「急速にエスカレートしかねない」との懸念も出ています。

 UNMISSの6カ所の民間人保護施設では6月現在16万人近い避難民を収容。自衛隊が任務にあたる首都ジュバには約2万8千人の避難民がいます。(伊藤寿庸)


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