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2016年6月30日(木)

安保法制=戦争法 最悪の立憲主義破壊

自衛隊を海外での戦争の最前線に

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 今回の参院選の大争点は、安保法制=戦争法の廃止か、安倍政権による9条改憲を許すのかです。戦争法の危険と違憲性について、改めて考えます。


海外での武力行使へ四つの仕組み

 安倍政権が強行した戦争法には、(1)「戦闘地域」での米軍等の兵たん(武器調達・補給・輸送など)の拡大(2)戦乱が続いている地域での治安活動(改定PKO法)(3)地球上のどこでも米軍を守るための武器使用(装備品防護)(4)集団的自衛権の行使という、自衛隊が海外で武力行使をする“四つの仕組み”が盛り込まれています。

 兵たん拡大では、地球の裏側まで活動範囲を広げ、これまであった「非戦闘地域」という活動地域の限定も撤廃。戦闘現場の近くで、従来は「できない」とされた武器・弾薬の輸送や提供も可能にします。捜索救難活動は戦場まで入って行います。

 PKO法改定では、紛争状態が継続する地域での住民保護や治安維持任務を明記しました。巡回、検問などの警護任務に加え、離れた場所での襲撃・戦闘に対する「駆けつけ警護」や、宿営地を外国軍と共同防護する活動も加わっています。

 外国軍隊の装備品防護の任務においては、航空母艦も「装備品」に含まれ、海上自衛隊の護衛艦が米軍艦隊をガードし、不測の事態では「武器使用」するとしています。事実上の戦闘です。

 集団的自衛権の行使は、日本に対する攻撃がないのに米国が攻撃を受けたら日本も参戦するものです。米国にどこかの国が攻撃を加えることがありうるかを考えると、実際には米国が行う無法な侵略戦争への加担となる可能性が大きいのです。

図

 “四つの仕組み”は、どれも日本の防衛とは関係のないもので、海外で自衛隊が武力を行使し、「殺し、殺される」危険に踏み込むことを強制するものです。

 こうした危険の最前線に立つのは、自衛官です。

 安倍首相は、「共産党は、自衛隊は違憲だといいながら、災害や急迫不正の侵害では自衛隊を使うというが無責任だ」と攻撃します。しかし、憲法違反の戦争法によって、「日本防衛」と関係のない戦闘に自衛官を駆り立て、「殺し、殺される」状況に追い込むことで生じる結果について、安倍首相はどんな責任を取ると言うのでしょうか。無責任なのはどちらかは、明白です。

集団的自衛権の違憲解釈を覆す

 安倍政権は、2014年7月1日の「閣議決定」で、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」という歴代内閣の憲法解釈を百八十度覆しました。この集団的自衛権行使容認の「閣議決定」にもとづいて戦争法案をつくり、国会での多数を頼みに、空前の反対運動を無視して強行したのです。

 これほどあからさまな立憲主義破壊はありません。戦争法が、戦後最悪の悪法といわれるゆえんです。

 歴代政府は、自衛隊が、憲法9条2項が禁じた「戦力」にあたらないと説明するため、「自衛隊は海外での武力行使はできない」というルールを守ってきました。自衛隊は「世界標準の軍隊」ではなく、「自衛のための必要最小限度の実力」であると「説明」してきました。

 自民党政権のもと、日米同盟強化の圧力を受けながら、1990年代以降、PKO法や周辺事態法(99年、米軍への後方支援)、テロ対策特措法(2001年、インド洋での米軍への給油)、イラク特措法(03年、米軍の輸送支援)などで、自衛隊の海外活動は広がり、憲法との矛盾は拡大しました。

 この中でも建前としては「海外での武力行使は許されない」という「制約」は維持されてきました。しかし、イラク戦争で航空自衛隊が武装米兵をクウェートからイラクのバグダッドまで輸送した活動は、米軍の「武力行使と一体化」したとして、名古屋高裁判決で憲法違反と断罪(08年)されました。

 「これ以上は憲法改正だ」と多くの自民党議員も語ってきました。そのもとで安倍内閣は、「憲法解釈の変更」と法律で憲法の内容を変える=壊すという戦後最悪の蛮行を働いたのです。

自衛隊どうする―共産党の政策

憲法と国民の命守る―両方を追求

 日本共産党は、自衛隊は憲法9条に違反する存在だと考えています。同時に、すぐになくすことは考えていません。「自衛隊がなくても大丈夫」という国民の圧倒的多数による合意ができるまでなくすことはできません。将来の展望として、国民の合意で9条の完全実施に踏み出すというのが日本共産党の方針です。

 それまで自衛隊は存続しますが、その過程で、万一、急迫不正の主権侵害や大規模災害などがあった場合は、国民の命を守るために働いてもらうという方針を党の大会で決めています。

 憲法を守ることと、国民の命を守ること―、その両方を真剣に追求しています。

 安倍晋三首相や公明党の山口那津男代表は、違憲の自衛隊を活用するというのは矛盾だとか、立憲主義に反するとか言い立てて、日本共産党を攻撃しています。

 しかし、自衛隊と憲法の矛盾は、自民党が作り出し、自公政権のもとで拡大されてきたものです。9条破壊の政治を変える過程で、この矛盾を引き継ぐことは避けられません。日本共産党は、その矛盾を引き継ぎながら、憲法を生かす方向で、国民合意に基づき段階的に解決する現実的な道を示しています。

 これに対して、憲法と自衛隊の矛盾を極限まで拡大させ、戦争法で9条を破壊したのが自民、公明です。その彼らに立憲主義を語る資格はありません。

 自衛隊解消は将来の展望であり、日本共産党はいま4野党でとりくむ戦争法廃止の共闘に独自の政策を持ち込まないことを当初からつらぬいています。


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