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2016年6月30日(木)

主張

貧困と格差拡大

「アベノミクス」加速は危険だ

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 安倍晋三首相は参院選での各地の演説などで、自らの経済政策「アベノミクス」の“成果”を宣伝し、「エンジンをふかす」「アクセルを踏み込む」と、さらに加速させることを訴え続けています。大企業がもうければ雇用も消費も改善するという「アベノミクス」の筋書きは完全に破綻しています。大企業や大資産家が大もうけするだけの「アベノミクス」のもとで、貧困と格差の拡大が深刻化しています。破綻した政策を加速しても、矛盾が広がるだけです。参院選で厳しい審判を下し、根本的な転換を実現することが不可欠です。

大企業はもうけため込み

 まじめに働いても年収200万円にも満たない「ワーキングプア(働く貧困層)」が1100万人を突破し、増え続けています。その背景には、派遣やパートなど非正規の雇用が増えている、雇用の破壊があります。「子どもの貧困」「女性の貧困」「老後の貧困」なども重大な社会問題です。「下流老人」や「貧困女子」といった新造語が次々登場するというのも事態の深刻さを浮き彫りにするものです。

 円安や株高で大企業や大資産家がもうけを増やせば、雇用や賃金にも回り、消費や投資も増えて、景気が良くなるというのが「アベノミクス」の筋書きでした。世界各国では軒並み失敗している「トリクルダウン」(滴り落ち)の経済政策であり、破綻は当然です。

 安倍政権になって3年半、大企業や大資産家のもうけは記録的な水準ですが、そのほとんどはため込みや投機に回って、雇用も賃金もよくなっていません。大企業の内部留保(ため込み)は300兆円を突破する一方で、勤労者の実質賃金は5年連続の減少―年収400万円の勤労者では20万円も実質賃金が減っています。

 アメリカの経済誌の調査では日本の富裕層上位40人の資産合計は安倍政権発足前に比べ8・2兆円も増えています。その半面、日銀の調査では貯蓄が全くないという世帯が3割にも達しています。安倍政権のもとでの貧困と格差の拡大は明らかであり、その放置はもはや一刻の猶予も許されません。

 「アベノミクス」を加速しても、大企業や大資産家のため込みがそのままでは、勤労者の賃金も雇用も改善しません。だいたい「アベノミクス」は「世界で最も企業が活動しやすい国」にすることを掲げ、企業が派遣労働者をいつまでも使い続けることができる派遣法の改悪や、残業代ゼロで労働者を働かせることができる労働基準法の改悪などを推進してきました。「アベノミクス」を推し進め、雇用破壊を加速すれば、貧困と格差の拡大が激化するだけです。

家計のエンジンを温める

 イギリスが欧州連合(EU)から離脱を決めた背景にも、多国籍企業などで働く若い労働者層と地方や高齢者などとの格差が拡大し、国民が不満を募らせたことが指摘されています。貧困と格差の拡大の是正は世界共通の課題です。

 日本国憲法はすべての国民に「生存権」や「法の下の平等」を保障しており、貧困と格差の是正は日本社会の健全な発達に不可欠です。上から「滴り落とす」のではなく、国民の暮らしを応援し、日本経済の最大のエンジンである家計から経済を温めるべきです。「アベノミクス」は加速ではなく中止することこそ必要です。


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