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2016年6月30日(木)

介護保険料滞納で処分など2万3千人超

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グラフ:介護保険料の滞納処分などの推移

 介護保険料を滞納し、市町村から差し押さえ処分を受けた高齢者が1万人を超え、給付制限を受けた人ものべ1万3263人に達したことが厚労省の調査で分かりました。安倍内閣のもとで介護保険料が高すぎて払えない人が増え、強権的なサービス取り上げと保険料の強制徴収が広がっていることを示しています。

 2014年度に全国1741市区町村を調査したもの。

 それによると、保険給付の減額(9・8割給付を7割へ減額)は1万747人。利用者がいったん全額負担する「償還払い」にされた人も2459人にのぼりました。

 給付減額は、大阪市656人、横浜市337人、福岡市233人、神戸市192人の順。償還払いは、大阪市276人、横浜市130人、福岡市106人、札幌市81人となっています。

 一方、差し押さえ処分は517市区町村で1万31人。大阪市404人、長崎市347人、横浜市293人、広島市272人の順。処分を受けた高齢者からは「介護サービスが使えない。早く死ねということか」(神奈川県の80歳の女性)との声が上がっています。

 高齢者の介護保険料は年金から天引きされますが、年金額が年18万円未満の場合は自分で納めます。処分を受けたのは、こうした低年金の人が大半をしめるとみられます。

 介護保険料は全国平均で月5500円程度。25年度には約8200円に跳ね上がる見込みです。滞納額は年々増加し、2014年度は276億円にのぼります。

 日本共産党は、国庫負担を直ちに10%引き上げ、保険料を抑えながらサービスを拡充していく改革案を示しています。


解説

軽減の公約 ほごにした自公

 介護保険料の滞納処分が1万人を突破する事態になっているのは安倍内閣によるアベノミクスと社会保障の連続改悪で貧困が深刻化しているからです。

 高齢者は3人に2人が住民税非課税で、介護保険料の負担が生活困窮の大きな要因となっています。実効性のある保険料の減免制度の確立が急務です。

 同時に介護保険は、サービスの利用が増えたり、介護職の労働条件を改善すれば、保険料・利用料の負担増に跳ね返るという根本矛盾を抱えています。

 厚労省の見通しでは給付削減を実行しても、全国平均で月5500円程度の65歳以上の保険料は、2025年に月8200円に跳ね上がります。2000年の制度発足時の3倍近くに迫る額です。

 保険料・利用料の高騰を抑えながら、制度を充実させ、持続可能な制度とするには、国庫・公費負担を増やすしかありません。

 自民党と公明党は、消費税増税で1兆円を投入し、公費負担割合を50%から60%に引き上げると公約していましたが、増税したのにほごにされ、今回の参院選では公約からも消えました。消費税増税を財源に行うと約束していた保険料の低所得者軽減もごく一部が実施されただけで、消費税10%増税再延期を口実に先送りされたままです。

 日本共産党は、国庫負担を直ちに10%引き上げ、国庫負担を50%(地方を含めた公費負担75%)に増やすことを主張。財源は、消費税ではなく、富裕層や大企業への応分の負担などで賄う道を示しています。

 介護保険について安倍内閣は、参院選後に要介護1・2の生活援助を原則自己負担化するなど大改悪をねらっています。「介護難民」を深刻にし、介護保険を掘り崩す暴走に厳しい審判を下すことが重要になっています。

 (深山直人)


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