2016年6月30日(木)
問われるのは違憲の戦争法
首相のすりかえ通用しない
論点 2016 参院選
参院選中盤に差し掛かるなか、安倍晋三首相と自民・公明の両党は、安保法制=戦争法という最大の争点から逃げる姿勢を強めています。安倍首相は、戦争法についてまともに説明せず、「共産党と共闘する民進党候補への1票は、自衛隊解散の道への1票だ」などと野党共闘を攻撃し、「自衛隊の存在を認めるか」に論点をすりかえる演説を繰り返しています。
いま問われているのは、そんなことではありません。
安倍政権は、「憲法9条のもとで、自衛隊は集団的自衛権の行使はできない」という戦後60年余にわたる政府の憲法解釈を、一内閣の勝手な判断で百八十度変更し、自衛隊を海外で米国の戦争に全面的に協力する軍隊へとつくり変える戦争法(安保法制)を強行しました(昨年9月19日)。問われているのは、憲法違反の戦争法をこのままにしていいのかということです。
家族の不安軽視
1954年の自衛隊創設後も、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出してこなかった戦後日本の平和の歩みのもと、自衛隊の存在を支持する保守派の人々も、自衛隊の海外派兵に反対してきました。「戦争法」は「専守防衛」=「守りに徹する」という自衛隊のあり方を根底から破壊するものです。
日本の防衛のために「危険を顧みず」と服務宣誓する自衛官を、災害救援・復旧で汗を流してきた自衛官を、日本の防衛と関係のない海外での戦闘に駆り立てていいのか。元自衛隊関係者からは「自衛官の人格権を無視するもの」(元空将補の坂本龍虹さん)など、怒りの声があがっています。自衛官の命、家族の不安を、羽毛のように軽ろんじているのは安倍首相ではないのか。
異常な無法状態
戦争法の強行は、国会の多数決でも憲法に反することは決められないという、立憲主義の原理を乱暴に踏みにじりました。日本の政治に広がろうとする異常な無法状態を一刻も放置できません。
日本共産党、民進党、社民党、生活の党の野党4党は、「戦争法廃止・立憲主義回復」「野党は共闘」と求める市民の声に押され、その大義を掲げ歴史的な共闘選挙に踏みだしました。
安倍首相は戦争法案審議中の昨年6月26日、「戦争法は憲法違反」という広範な国民の批判を受け、「われわれは次の選挙において国民の信任、判断を仰ぐことになる」と述べていました。自分の発言からさえ逃げ、争点回避する無責任きわまりない姿は、政治を担う資格を問われるものです。
(中祖寅一)