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2016年6月25日(土)

2016 焦点・論点

明治憲法と自民改憲案 「緊急事態」条項(上)

一橋大名誉教授 渡辺治さんに聞く

乱発80回 戦争の道へ

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写真

(写真)わたなべ・おさむ1947年東京都生まれ。一橋大学名誉教授。研究分野は政治学、憲法学。著書に『現代史の中の安倍政権』(かもがわ出版)など多数

撮影 縣章彦

 安倍改憲を許すのか、戦争法を廃止するのかは参院選の大争点です。自民党改憲草案は「現行憲法の全ての条項を見直し」(同草案Q&A)といっているように、9条を焦点にして憲法の全面改定を狙っています。安倍晋三首相らがその突破口として言及しているのが「緊急事態」条項(国家緊急権)の導入です。この問題について、九条の会事務局の渡辺治一橋大学名誉教授に聞きました。(山沢猛)


明文改憲へ執念

 ―安倍首相は、憲法改定を認めない世論が年々ふえているのに、明文改憲に執着していますが。

 安倍首相は、戦争法を通したものの、「憲法は生きている、死んでいない」ことを実感したと思います。

 なぜなら、戦争法に対して反対運動が歴史的高揚をみただけでなく、強行採決後も廃止を求める運動が盛り上がり、参院選前には戦争法の発動ができない事態に陥ったからです。

 参院選後に戦争法を発動しようとしても、国会では戦争法廃止のスクラムを組んだ野党に憲法違反を追及され、違憲訴訟も多数起こるでしょう。9条がある限りこの“泥沼”はいつまで続くかわからない。憲法そのものを改変しなければ「戦争する国づくり」はいつまでも完成しないというあせりが、明文改憲の執念につながっているのだと思います。

大震災を口実に

 ―改憲勢力は憲法に「緊急事態」規定が入っていないことを問題にしていますが。

 3・11の東日本大震災などを口実にして自民党と改憲勢力は「緊急事態」条項の導入をいっていますが、現行憲法にこの規定が入らなかった理由をふり返る必要があります。

 緊急事態規定の危険性はナチス・ドイツの台頭を手助けした例などで指摘されていますが、明治憲法下の日本ほど、緊急事態規定の乱用の危険性を示している国はありません。

 実は明治憲法は緊急事態規定の“宝庫”でした。

 天皇制の政府は、戦時、大震災、非常時を口実にこの規定を乱発し議会を通さずに国民の自由を奪い、ついには日本を戦争への道に引きずり込んだのです。その反省から日本国憲法はあえてこの規定を入れなかったのです。

 明治憲法は、絶対君主制下にあったドイツのプロイセンや他のラント(州)の憲法をまねてつくられたのですが、天皇制を守るために、そこにあった各種の緊急権をすべてとりいれた結果、二重三重の緊急権をもった特異な憲法になりました。

 数えてみると、少なくとも明治・大正で70件、昭和には10件、国家緊急権条項が発動されています。(つづく)

〈一橋大名誉教授 渡辺治さんに聞く(中)〉

〈一橋大名誉教授 渡辺治さんに聞く(下)〉


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