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2016年6月25日(土)

主張

伊方原発の再稼働

不信と不安に応えていない

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 40年の運転期限を踏みにじった原子力規制委員会の関西電力高浜原発1、2号機への延長認可、5年前の福島原発事故の際の東京電力による「炉心溶融」隠(いん)蔽(ぺい)発覚―原子力規制委と電力会社への国民の不信を募らせるニュースが相次ぐ中で、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の再稼働の動きが進んでいます。原子炉への核燃料の搬入が24日から始まり、このままでは7月下旬にも、九州電力川内原発に並ぶ国内2カ所目の稼働原発として運転を開始する見込みです。九州地方の地震拡大の恐れや避難体制への住民の不安も解消しないなか、再稼働強行は許されません。

電力会社任せは危険

 原子力規制委員会が20日、関西電力高浜原発1、2号機の運転延長を認めたのは、東電福島原発事故のあと政府自身が原発の運転は40年と制限したことさえ踏みにじり、事故の危険が格段に大きくなるといわれる老朽原発の運転に道を開くものです。運転を認可するといいながらケーブルの取り換えなどの工事はこれからで、重要設備の耐震性を調べる試験も先延ばししているなど問題だらけです。住民の安全より電力会社の経営を優先した政府と原子力規制委による最悪の原発依存・推進政治です。

 原発は電力会社任せでは危険が防げないことを浮き彫りにしたのが、東京電力が福島原発事故当時、社内マニュアルさえ無視して原子炉内の燃料棒が大量に破壊する「炉心溶融」が起きていたことを隠していた問題です。社内の調査委員会によって「炉心溶融」を長期にわたって発表しなかったのは当時の社長の指示だったことが明らかになり、現在の広瀬直己社長は21日ようやく「隠蔽」を認め謝罪しました。原発事故で大きな被害を受け、現在も避難生活を続ける住民に、遅すぎる謝罪です。

 原発はもともと未完成で、ひとたび事故が起きればコントロールできなくなる危険な存在です。それに輪をかけているのが、電力会社と政府の経営優先、安全軽視の姿勢です。安倍晋三政権は、原子力規制委の審査に合格した原発は再稼働させるという規制委任せの姿勢です。原子力規制委は九州電力川内原発、四国電力伊方原発、関西電力高浜原発などを相次いで「合格」させましたが、一度は再稼働した高浜原発3、4号機については裁判所から、規制委の基準は「緩やかに過ぎる」と運転停止を命じられるありさまです。

 再稼働の準備が進む伊方原発についても、地震などへの備えが不十分なことや佐田岬半島の付け根に位置するため、いったん事故が起きれば避難する体制がないことなどが指摘されています。再稼働を強行することは許されません。

九州の地震で不安高まる

 とりわけ新たに指摘されているのは、4月以来の熊本や大分を中心とした連続的な地震で、その延長線上にあるとみられ、伊方原発のすぐ近くを走っている中央構造線断層帯や、日本列島の南を走る「南海トラフ」の活動が活発化する恐れです。原子力規制委は新たな懸念が浮上している以上、再稼働を認めた審査を取り消し、再稼働を白紙に戻すべきです。

 現在全国では川内原発しか稼働していませんが、この夏も必要な電力が確保できることは政府も認めています。危険な原発の再稼働は断念することこそ重要です。


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