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2016年6月23日(木)

日本テレビ系番組「news every.」党首討論

志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長は21日放送の日本テレビ系番組「news every.ニュース・エブリィ)」に出演し、与野党党首と討論しました。


増えたのは非正規雇用――この流れを変えるべきだ

  安倍政権の経済政策「アベノミクス」を100点満点で評価すると何点か―。

  司会の質問に各党首が採点しフリップで提示。与党はそろって「道半ば」と記し、「力強く前に進めていく」(安倍晋三首相)と述べました。志位氏は「−(マイナス)36」と採点し、「アベノミクス」で雇用が増えたと繰り返す首相の説明を批判しました。

 志位 (安倍氏は)「雇用が良くなった」といいますが、増えたのは非正規雇用で、3年間でとると167万人増えています。しかし、正社員は36万人減っている。去年は若干プラスですが、3年間というターム(期間)ではこういう状況です。そのうえ労働者派遣法改悪など、正社員を派遣におきかえる流れをつくっている。これは変えなければなりません。

「社会保障のため」と増税して削るのは国家的詐欺――「消費税にたよらない別の道」こそ

  「(消費税10%への)増税の再延期で社会保障の充実策は?」との司会者の質問に、安倍首相は「低所得者の年金給付金はいますぐできるという状況ではない」などと発言。社会保障財源を消費税増税にリンクさせたやりとりに、志位氏は―。

 志位 こういう問題もあるんですけれども、8%に消費税を上げて社会保障はどうなったかという、もともとを見る必要があるんですよ。

 安倍政権の4年間で社会保障費の「自然増」を、1兆3200億円も削ってきたんですね。そのために年金給付は連続削減です。それから医療費の窓口負担が引き上がる。それから介護報酬が引き下がる。あらゆる分野で社会保障のカットになったわけです。「社会保障のため」と言って増税しておいて、これだけ削るっていうのは、私は、国家的詐欺に等しいやり方だと思うんですよ。

 ですから、社会保障と消費税という問題について言うならば、この「自然増」削減路線をやめ、拡充に転ずる。国の責任で、年金削減をやめ、「減らない年金」にする。あるいは、高すぎる医療費の窓口負担を引き下げる。こういう方向に進むと(いうのが必要です)。

 その財源は、富裕層や大企業に応分の負担を求めるという「消費税にたよらない別の道」で財源をまかなうというところに切り替えないとだめだと思います。

  志位氏は、政府が打ち出した「低年金者への給付金」「年金受給資格期間の短縮」「介護保険料の軽減」などの施策を全部やったとしても8000億円程度でできると指摘したうえで、消費税大増税にしがみつく安倍政権の姿勢を批判しました。

 志位 消費税で財源をまかなうという呪縛にとらわれているから、どれを削るかという話になるんですね。さきほど話したんですけれども、たとえば富裕層に対する課税。これは所得1億円を超えると、逆に所得税の負担率が下がるんですよ。株売買や配当に対する課税は低いですからね。こういう問題にちゃんと手をつければ、3兆円というお金は出てきますよ。

 ですから、そういうところで本気になって課税をやって、他の税でまかなうという考え方に立たないと、社会保障と言ったら消費税だとリンクさせている限り、いつも呪縛にとらわれて、どれを削るかという話になっちゃうんですよ。

戦後初めての異常事態――首相は自らの増税不況の責任を認めよ

  安倍首相は、消費税10%の先送り実施の理由になおも「世界経済のリスク」を持ち出しました。これに反論した志位氏との間でやりとりに。

 志位 安倍さんね、「世界経済のリスク」のせいにするのはやめたほうがいいと思うんですよ。今度、増税できなかったのは、日本経済が大変な消費不況に陥っていると(いうことのためです)。2014年度、2015年度、2年連続して個人消費はマイナスなんですよ。これね、リーマン・ショック(2008年)のときも1年で回復したわけですから、戦後初めての異常事態に陥っている。ですからこれで上げられなくなったわけですよ。そういう事態をつくったのは、安倍さんの8%への増税で「増税不況」をつくっちゃった。この責任を認めることが必要です。

 安倍 確かに8%への引き上げを行った後は消費が冷え込んだのは事実です。しかし、足元においては今年の1〜3月期においては、消費はプラスに転じています。この流れをしっかりとしたものにしていきたいと思っています。

 志位 足元だけではだめですよ。

憲法9条に手をつけないといえるのか――首相、9条改憲否定せず

  司会者が安倍首相に「『在任中に憲法改正を成し遂げたい』といいながら、今回の選挙ではあまり訴えていないが」と質問。安倍首相は「国民に憲法を問うのは、(衆参の)憲法審査会でどの条文をどう変えていくか議論して、その後の国民投票だ。今の段階でどう変えるか集約していないのだから、この選挙では問いようがない」と発言しました。志位氏は安倍首相の認識をただしました。

 志位 安倍さんにうかがいたいんですけれどね、安倍さんのおっしゃっていることは、憲法は変えていく、しかしどの条文を変えていくかはお示しできない、そして憲法審査会の議論にゆだねたいと(いうことです)。

 ただ憲法審査会で自民党は第1党ですから、自民党総裁としてどう考えているかは問われるわけです。自民党としては「改憲案」を示している。「自民党改憲案」の中には9条2項を削除して、集団的自衛権でも、海外派兵でも、まったく無制限にやれる。これが入っていますよね。

 私は、お聞きしたいんですけれど、9条には手をつけないと言えますか。

 安倍 すでに私ども草案をお示ししているんですから、それをまさに審査会において議論していただきたい。すでに自民党としての考え方は示しているわけです。

  安倍首相は、志位氏がただした9条改憲の問題には答えないまま、議論をすりかえました。

 安倍 共産党は、そもそも自衛隊は憲法違反だとさきほどはっきりおっしゃった。憲法違反だとはっきりおっしゃりながら、災害出動はさせる。急迫不正の侵害には自衛隊の職員に命をかけろ、と。憲法違反の存在と言いながらですね、その瞬間に士気が低下しますよ。

 志位 (自衛隊という)憲法違反の存在をつくったのは自民党です。

 安倍 憲法違反と言いながら(自衛隊員に)命をかけろと…。

 志位 矛盾なんだけれど、それは自民党政権がつくりだした矛盾なんですね。それをすぐになくすわけにはいかない。国民合意を得ながら、将来の展望としては、段階的な解消をはかる。それが一番責任ある態度なんです。

  公明党の山口那津男代表は「安倍さんはあくまで聞かれるから、自民党の総裁として自民党の立場をお述べになっている」と援護。「平和安全法制(=安保法制)があれば9条改正は必要ないのか」との司会者の質問に「そのためにつくった。9条の解釈を政府が確定したんでしょ」と答えました。この発言を受け志位氏はさらに安倍首相をただしました。

 志位 安保法制に対する立場は違いますけれど、安倍さん(は山口氏と)同じ立場ですか。9条を変えない、手をつけないと(言えますか)。

 安倍 いま山口代表がおっしゃったんですが、これは政府が発議するものではありません。国会が発議するものです。もちろん自民党の総裁でもありますから、自民党の総裁としてまさに憲法審査会でしっかり議論していきましょうと申し上げていて、しかも(改憲発議に必要な)3分の2(議席)という高いハードルはそう簡単にはいきませんよ。自民党の草案通りにははっきり言ってなりません。

  重ねての志位氏の質問に対して、安倍首相は9条改憲を否定しませんでした。安倍首相による改憲の本丸が9条改憲にあることが、浮き彫りになりました。


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