2016年6月23日(木)
第一声にみる
アベノミクスごまかし戦争法・改憲逃げ回る
安倍首相こそ無責任
安倍晋三首相は22日、熊本県内での参院選第一声で、「争点は経済政策だ。野党は口を開けば『アベノミクスは失敗した』と批判ばかり」と切り出して、都合の良い数字を並べたて、「アベノミクスのギアを2段も3段も上げてエンジンをふかしていく」とまくし立てました。
選挙前に行われた、この間の党首討論でも、実質賃金の5年連続低下、個人消費2年連続マイナスという深刻なアベノミクスの実態を突きつけられ、反論できませんでした。報道各社の世論調査でも、景気回復に「実感なし」が8割を超え、「アベノミクス」で「(景気が)良くなることはない」「見直すべき」が過半数、6割を超えます。安倍首相が「この経済政策を前に進める」と言えば言うほど、国民の実感から離れ、まともに訴えるべき政策がない姿を印象付けました。
この中で、アベノミクスに変わる「対案」は何かが大争点として注目されています。
日本共産党の志位和夫委員長は、東京・新宿駅東口での第一声で「格差をただし、経済に民主主義を」と述べ、(1)税金の集め方(2)税金の使い方(3)働き方の「三つのチェンジ」を提起。消費税に頼らない別の道として、“大企業、富裕層、タックスヘイブン(租税回避地)”の三つの税逃れをただし、社会保障充実、正規雇用拡大など、財界応援から暮らし応援に切りかえる経済改革を対案として明確に示しました。
安倍首相は、最大争点である安保法制=戦争法については、北朝鮮のミサイル発射を批判しただけで、海外での武力行使に踏み出す戦争法の危険と違憲性の問題は回避。21日のテレビ討論で志位氏に「憲法9条に手をつけないと言えるのか」と問われたのに対し、否定しなかったことではっきりした、明文改憲の狙いについては全く触れませんでした。
これに対し公明党の山口那津男代表は、「国民から憲法をこう変えたほうがいいという声が上がってきて初めて、国会の発議が整う」と第一声で述べ、改憲は争点ではないという姿勢を強調。安倍改憲に対する国民の危惧を前に、ごまかしに力を入れました。
安倍首相は、戦争法廃止の野党共闘において、問題とされていない「自衛隊解散」や「日米同盟廃棄」を持ち出し、それを主張する共産党と、民進党の連携は「無責任」だと攻撃しました。意図的な争点そらしをもくろんだ野党共闘攻撃で、逃げ切る姿勢を強めています。
しかし、破綻したアベノミクスのごまかしを繰り返し、国民が求める戦争法廃止、改憲反対で逃げ回る、安倍首相こそ「無責任」だというべきです。
一方、自民党の谷垣禎一幹事長は三重県の選挙区候補応援の第一声で、「この選挙が終わり、アメリカの大統領選挙が終わったら、(アジア太平洋地域の安全確保について)詰めなければならない」と明言。「それが控えるときに、共産党と組んでいる勢力が伸びたらうまくいくか疑問になる。絶対に負けるわけにいかない」と強調しました。戦争法の発動、米国と連携した海外での軍事活動の開始へ、なんとしても野党共闘の成功を阻止するという本音と決意を示すものです。
安倍首相のごまかしと争点そらしを許さず、暴走に必ずストップをかける―。18日間の熾烈(しれつ)な政治戦が幕を開けました。
(中祖寅一)