2016年6月21日(火)
ビール券・エルメス・ドイツ車部品
改選の自民参院議員 香川など
政治資金使途何でもあり?
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国民の強い怒りを呼び、舛添要一都知事を辞職に追い込んだ政治資金の公私混同疑惑。「政治とカネ」の問題が7月の参院選の大きな争点になっています。舛添氏がかつて所属した自民党の参院候補の支出を見てみました。(矢野昌弘)
香川選挙区の磯崎仁彦参院議員の政党支部は東京・日本橋などの高級デパートへの多額の支出が目立ちます。2014年9月には、21万6270円と13万2408円を「品代」として支出していました。何を購入したのか、何に使うのか、不明です。
公私混同が指摘された舛添都知事は、「資料代」「書籍代」として美術品や絵画を購入。「備品」の名目で、子ども服や多数の額縁を購入していました。
磯崎氏のように「品代」だけでは、支出目的が明らかではありません。
さらに磯崎氏の支部は「ビール券代」として31万3600円(14年)を都内のデパートに支出。「お歳暮代」として、同年12月に4万1604円を支出しています。
末松信介参院議員(兵庫選挙区)の政党支部は、14年にフランスの有名ブランド、エルメスで2万5920円の支出をしていました。
政治資金収支報告書によると、支出の目的は「商品代」。この記載では、何のためにエルメスを購入したのか、わかりません。
この他にも末松氏の資金管理団体「末松信介後援会」は、13年11月に神戸市東灘区内の店に支出しています。
この店のホームページによると、ドイツ車のフォルクスワーゲンやアウディ向けの「スペシャルパーツショップ」としています。この店への支出も「商品代」となっていました。
鶴保庸介参院議員(和歌山選挙区)の自民党支部は「ゴルフ代」として13回(11〜14年分)をゴルフ場に支出していました。
1回の支出は、毎回1万2000円ほど。これらのゴルフ場の案内によると、1ラウンド1人分の料金に相当します。支出した日付のうち、4回は平日でした。
また、鶴保氏の支部は「贈答品」として和菓子店などに3回支出しています。誰に贈るものかは不明です。
岡田直樹参院議員(石川選挙区)の自民党支部は「ゴルフ代」や「ゴルフプレー代」などとして計5回(12〜14年)、ゴルフ場に支出。このうち2回は、平日でした。
金沢市内の老舗店から麩(ふ)を「手土産代(10箱)」2万4150円(13年)を支出していました。誰への「手土産」か不明です。
本紙の取材に「特定政党の機関紙からの取材は従来より回答を控えさせていただいております」(鶴保議員の事務所)と回答。他の議員からは回答をえられませんでした。
舛添氏も自民党仕込み
神戸学院大法学部教授 上脇 博之さん
本来ポケットマネーで出すべきものを、政治資金でまかなっているのではないか。
舛添都知事はもともと、自民党にいました。自民党議員がやっていた私的流用の手口を模倣したのでしょう。
政党助成金によって自民党の政治資金は潤沢でバブル状態ですから、私的な支出を政治資金で払ったり、ムダ遣いをしても、政治資金に困らないのです。
政党助成金はもともと、私たちの税金です。この制度の廃止を含め抜本的に見直す議論をすべきです。
「政治とカネ」は参院選でも、一大争点として問われる問題です。