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2016年6月20日(月)

フジテレビ「新報道2001」党首討論 志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長は19日放送のフジテレビ番組「新報道2001」に出演し、与野党党首と経済問題、参院での野党共闘などを中心に討論しました。


首相が言わない二つの数字―実質賃金5年連続マイナス、個人消費2年連続マイナス

 番組では、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の下で広がる貧困と格差の問題がテーマになりました。安倍晋三首相は「有効求人倍率は47全ての都道府県で1倍を超えた」など数値をあれこれあげ、「アベノミクス」に固執する姿勢をあらわにしました。これに対し志位氏は反論しました。

 志位 安倍さんは、「アベノミクス」はうまくいっていると、いろんな数字をあげられました。さきほど、有効求人倍率が1を超えて、全国そうなっているとおっしゃいましたけれども、これはパートや非正規を含めた数なんです。正社員の有効求人倍率というのは0・85なんですよ。1を超えているのはたった8都県しかないんです。ですから、正社員の仕事がない。

 そして、安倍さんは大事な数字を二つあげないんです。

 一つは、働く人の実質賃金が5年連続マイナスです。5%目減りしている。1990年以降、最低になっているんです。賃金が実質目減りしている。

 もう一つは、日本経済の6割を占める個人消費が、(20)14年度、15年度と2年連続マイナスなんですよ。2年連続マイナスというのは、戦後で初めてです。

 ですから、この二つの大問題がある。「アベノミクス」といって、ともかく“大企業を応援して、大企業がもうかれば、家計に回る”といってやってきたんだけれど、そうなっていない。この実態を認めるべきだと思います。

「うまくいっている」と言えばいうほど国民の現状を知らないことを示す

 それでも安倍首相は「アベノミクス」の失敗を認めず、「昨年の正規雇用は8年ぶりに26万人増えた」「実質賃金は直近の3カ月は連続プラスになった」と再び数値を持ち出しました。

 志位 さきほど、総理は、足元では正社員が増えていると。去年は26万人増ということをいいました。ただ、安倍政権の3年間では36万人減っている。減ったうち、若干を取り戻したというだけです。全体の数字をきちんという必要があると思います。

 それから、実質賃金も、この(直近の)3カ月は上がったっていうんですけれど、かなり落ち込んだところに比べて、ちょっと上がっただけです。そういう数字のごまかしはやめたほうがいい。

 なによりも、この間、日本世論調査会が調査をして、「『アベノミクス』で給与が上がったという実感がありますか」と(いう設問に)、85%は「上がった実感はない」といっているんです。

 国民の実感はそうなんですよ。ですから、総理が、いろいろとうまくいっている、うまくいっているといえばいうほど、これは今の現状を知っていない、知らないでものをいっているということになると思うんですよ。

「正社員を増やす」と言いながら派遣法大改悪――言っていることとやっていることが違う

 これに対し安倍首相に「『アベノミクス』は道半ば。すべてがうまくいっているとは思っていない。不十分な点がたくさんあることは率直に認めたい」としつつ、「正社員を増やすことができた。実数で増やすのは大変なことだ」と発言。志位氏はさらに反論しました。

 志位 いまの問題でも、(テレビ局が用意した)グラフを見てくださいよ。非正規雇用労働者の割合というのは、37・5%で、もう最悪なんですよ。

 しかも、そういう最悪のときに、労働者派遣法の改悪をあなた方はやった。これまで派遣は「原則1年、最大でも3年」という枠があったのを、期間制限を取り外して、永久に派遣でも働かせ続けることができるようになった。そうしますと、「正社員ゼロ社会」に道を開くような大改悪をやっているわけですよ。そういうことをやっていながら、いろいろとおっしゃっても、これは、言っていることとやっていることがぜんぜん違うということをいわなければなりません。

「21兆円税収増」――8兆円は消費税増税分、リーマン・ショック前を取り戻していない

 公明党の山口那津男代表は、「国税・地方税合わせ21兆円税収が増えているのは『アベノミクス』のこの紛れもない結果」などと発言。志位氏は「21兆円というのも違いますよ。そのなかに8兆円の消費税増税が入っているのです。増えたのは13兆円だけでしょう」と指摘。安倍首相が「8兆円は消費税を上げた分だが、13兆円は大変な額だ」と発言したことに志位氏は次のように批判しました。

 志位 いまいった「21兆円税収が増えた」と(いう発言ですが)、そのうち消費税(増税分)を抜いたら13兆円だということを認めました。

 しかし、この13兆円も、リーマン・ショックの前を取り戻していないんです。リーマン・ショックがあった。リーマン・ショックで(税収が)落ち込んだ。これを取り戻していない。ですから、そういう数字をいろいろと並べて、自分たちがうまくいったといえばいうほど、それは国民の実感から離れていくと思いますよ。

野党共闘――大義で結束して安倍政権を倒すのは当たり前

 番組では、32の参院1人区で野党統一候補が実現し、与党との対決構図となったことがテーマになりました。司会者から「統一候補を立てていても政権は組まない。これがどうしてもわかりにくい」との質問に、民進党の岡田克也代表は「理念、政策で違いがあって、政権は組めませんと(私はいっている)。しかし、自民党、安倍政権の暴走を止め、安倍政権を倒すという共通目的に基づいて協力していくことはまったくおかしくない」と反論しました。志位氏は次のように述べました。

 志位 私たちは、野党で「連合政権」を組もうという提案をしております。ただ、合意はありません。合意がなくても、私たちは、まずは、安倍政権が安保法制――私たちは戦争法と呼んでいますが、あの憲法違反の法律を通した。そして日本の立憲主義を壊してしまった。しかもそのうえに憲法改定までいっている。

 そういう状況のなかでですね、野党が安保法制を廃止する、そして立憲主義を取り戻す、憲法改定を許さないと、そういう太いところで、大義で結束して安倍政権を倒す。これは当たり前のことです。

 しかも野党としては、それ以外の暮らしや民主主義の問題でも「共通政策」をずーっと確認しています。ですから、安保法制だけじゃありません。

 ですから、私は、(野党4党は)安倍政権に代わる選択肢をしっかり示していると思っています。

安倍政権を倒した後をどうするか――日本共産党は「国民連合政府」を提案

 これに関し、安倍首相と志位委員長との間で、次のようなやりとりになりました。

 安倍 おそらく志位さんは、おなかのなかでは、民進党は必ず自分たちを必要としてくる、政権をともに担うことにしてみせると、おそらく思っておられると思いますよ。そうでなければ、党の候補者を降ろしませんよ。安倍政権を倒すということで一本化しているんであれば、もし倒したあとはどうするんですか。

 志位 私たちは、倒した後に「国民連合政府」をつくろうということを提案しております。この「国民連合政府」というのは、「安保法制の廃止と立憲主義を取り戻す」ということが中心課題ですが、それ以外の暮らしの問題でも、「共通政策」を実行する。そして、この大命題をやりとげたら、ずるずる続けないで、解散・総選挙をやって、(国民の)審判を仰いで、次の進路を決めていくということをいっているわけです。

 安倍 志位さんは、私がいったとおりのことをおっしゃったんですよね。(民進党などと)いっしょに政府をつくっていくといったじゃないですか。

 志位 私たちは、そういう展望をもっているけれど、いま合意がないものを押し付けていません。

野党は、安保法制以外でも「共通政策」をしっかり確認している

 自公と一緒に野党共闘を批判した、おおさか維新の会の松井一郎代表が「政策なくチームをつくるのは野合といわれても仕方がない」と発言したことに志位氏は次のように反論しました。

 志位 「政策なき」というのは、まったくのデマですよ、これは。「共通政策」をしっかり確認しているんです。野党4党として、経済の問題でも、「アベノミクスによる格差と貧困を是正する」ということで、具体的な項目もずっと確認しているんですよ。政策がないというのはまったくのデマです。

 安倍首相は「民進党は共通政策が政権公約のなかにはまったく入っていない。志位さんがいうことと岡田さんがいうことはだいぶ違う」などと批判。これに対し志位氏は次のように述べました。

 志位 違わないですよ。この間、野党4党として、15本の議員立法を出しています。それから「市民連合」のみなさんと19項目の政策協定を交わしています。

 そういうなかで、たとえば経済の問題でも、保育士さんや介護職の給料を引き上げる。あるいは、長時間労働を是正し、最低賃金の大幅引き上げをはかる。税の問題も富裕層と大企業に応分の負担を求めることを掲げています。


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