2016年6月20日(月)
きょうの潮流
沖縄本島の中部を横断し、恩納(おんな)村と金武(きん)町を結ぶ県道104号。米軍基地を横切るように走る生活道路の頭上では、最近まで射撃訓練による実弾が飛び交っていました▼この県道に沿って森の中を縫っていくと、傍らに悲しみがひろがります。置かれた花束や飲み物、お菓子…。怖かったね、苦しかったね、あなたにいつの日か安らぎが来るように―。言葉が添えられた花の上をただようチョウの姿は、まるで被害者の魂が乗り移ったかのよう▼元海兵隊員の米軍属による残虐な蛮行。襲われ、殺された20歳の女性の遺体が捨てられた現場には絶対に被害者や遺族の涙を無駄にはしない、という誓いもありました▼その思いが結集した県民大会。炎天下の中を6万5千の人びとが追悼し、「海兵隊は撤退を」「怒りは限界を超えた」との強い意思を示しました。何度、こうした集会を開かなければならないのか、という憤りを込めて▼突然娘を奪われた父親は、父の日に開かれた集会に計り知れない苦しみと怒りとともにメッセージを寄せました。「次の被害者を出さないためにも全基地撤去、辺野古新基地建設に反対。県民が一つになれば可能だと思う」▼古謝美佐子さんの「童神(わらびがみ)」で始まった集会。親の愛あふれる歌は同時に会場を童神になれなかった悔しさで包みました。基地あるがゆえにくり返される悲劇。そこに立ちはだかる日米両政府の壁。翁長知事はその壁を突き崩す決意の日にすると。思いは同じ。日本の政治を変える、この一点に。