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2016年6月17日(金)

主張

高浜原発運転延長

最悪の原発依存・推進路線だ

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 原則40年の運転期間を延長して再稼働を目指す関西電力の高浜原発(福井県高浜町)1、2号機について、原子力規制委員会が近く運転延長を認めようとしています。運転延長の審査に「合格」するのは、高浜原発1、2号機が初めてです。老朽化した原発では事故の確率が格段に高くなることは常識です。東京電力福島原発の事故の後、原発の運転期間を40年と決めたのに、「例外」だと称して運転期間の延長をやすやすと認めたのでは、何のための期間制限なのかということになります。文字通り国民の命を脅かす運転期間の延長は、最悪の原発依存・推進路線です。

老朽化原発で高まる危険

 もちろん原発の運転期間を40年と決めたからといって、40年間は安全に運転できるなどという保証はどこにもありません。原発自体が未完成の技術であり、福島原発事故が証明したように、地震や津波に襲われたりすれば、電源が途絶え冷却できなくなって、炉心が溶け出すような重大事故を引き起こす危険性があります。稼働中の原発は直ちに運転を停止し、停止した原発の再稼働は断念して、廃止に向かうことこそ、原発事故の教訓を生かす道です。

 もともと危険が伴う原発は、長期間運転すれば、放射線にさらされる原子炉がもろくなったり、配管などの設備が老朽化したりして、いよいよ危険性が高まります。福島原発事故後、法律を改正して原発の運転期間を40年と定めたのは、老朽原発の経年劣化による危険性を少なくするためです。原子力規制委員会が認めれば1回だけ、60年まで延長できることになりましたが、それはあくまで「例外」だとされてきました。福島原発事故当時全国で50基以上あった原発が次々停止したり、廃止が決まったりしていく中で、高浜原発1、2号機が運転延長を認められようとしているのは、全く異常です。

 運転延長には原子力規制委が定めた規制基準に基づく「安全」審査と工事計画、さらに運転延長しても大丈夫かどうかの審査が必要です。高浜原発1、2号機は4月に規制基準に基づく審査が終わり、6月になって工事計画が認められており、運転延長の審査が認められれば、延長に向けて動きだします。工事のため再稼働には数年かかります。審査などに合格したといっても交換が求められたケーブルを防火シートで覆うことで「合格」としたなど、大甘の審査です。40年間の運転でもろくなった原子炉や老朽化が最も懸念される配管などへの「対策」も間に合わせのものです。延長が認められても「安全」の保証は全くありません。

司法の判断も踏みにじる

 同じ高浜原発の3、4号機について大津地裁(滋賀県)は今年3月、規制委の基準そのものに「非常に不安を覚える」と運転停止を命じました。3、4号機が仮処分で停止しているのに1、2号機について運転延長を認めるのは、司法の判断を踏みにじるものです。

 関西電力や電力業界が運転延長を求めるのは、原発が停止したままではもうけが減るためです。安倍政権が原発再稼働や運転延長に熱心なのも、2030年には電力の2割以上を原発で賄おうという無謀な原発依存政策のためです。電力会社のもうけや政府の勝手な都合で、労働者や住民が危険にさらされるのは絶対許されません。


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