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2016年6月17日(金)

「炉心溶融を使うな」

当時の東電社長が指示

福島第1原発事故 第三者委が報告

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 東京電力福島第1原発事故の際、核燃料が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)の定義を記したマニュアルがあったにもかかわらず、2カ月以上公表が遅れた経緯を検証していた東電の第三者検証委員会(委員長・田中康久弁護士)は16日、清水正孝東電社長(当時)が「炉心溶融」という言葉を使わないよう指示したとする報告書を公表しました。


 報告書によると、清水氏は2011年3月14日夜、記者会見に臨んでいた武藤栄副社長(当時)に対し、広報担当社員を通じて「炉心溶融」などと記載された手書きのメモを渡し、首相官邸からの指示として「この言葉を使わないように」と耳打ちさせていました。検証委は、この広報担当者から「指示を清水社長から直接受けた」との説明があったといいます。

 第1原発では同14日から15日にかけて、1〜3号機の炉心損傷割合が5%を超えていました。当時の社内マニュアルでは「炉心溶融」にあたる数値でしたが、損傷割合は通報したものの、「炉心溶融に当たる」とはしませんでした。

 報告書は、清水氏が官邸から「対外的に『炉心溶融』を認めることは、慎重な対応をするようにとの要請を受けたと理解していたものと推認される」との見解を示しました。しかし「官邸の誰から具体的にどのような指示ないし要請を受けたかを解明するには至らなかった」としています。

 官邸とのやりとりをめぐって、清水氏は検証委の2回の聞き取りで「記憶がない」と述べているといいます。

 また、事故を検証している新潟県の技術委員会に対し、東電が「炉心溶融」の定義がなかったと誤った説明をしていた問題に関して報告書は「不正確かつ不十分なものであったと言わざるを得ない」と指摘していますが、意図的な隠ぺいではないとしました。


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