2016年6月16日(木)
きょうの潮流
やっとか。辞職の一報を聞いたとき、そう思った方々も多いのでは。突っぱね、頭を下げ、泣き落とす―。保身のためには手段を選ばない舛添都知事の姿は正直うんざりでした▼日本共産党の都議団が豪華海外出張を告発してからの2カ月余。あきれるほどの公私混同が次々にあらわになりながら、最後まで誠実な態度はありませんでした。それどころか、当初は「まったく問題ない」「政治家はトップリーダー」という傲慢(ごうまん)さ▼こんな人物を「この人しかいない」と都知事に担ぎ出し全面的に支援したのが自民、公明の両党でした。安倍首相は、山口・公明代表とともに舛添氏を応援した宣伝カーで首都東京にはこの人が必要と絶叫。「舛添厚労大臣を誕生させたのは私」と得意顔でした▼辞めたといっても疑惑の解明はまだこれから。参院選への影響を考え、自公がこれで幕引きとするならば都民にたいする二重の裏切りです。不祥事をくり返さないためにも都議会で事実を明らかにしなければなりません▼「石原氏、猪瀬氏、そして舛添氏恥ずかしきかな都知事列伝」。本紙の読者の文芸欄で紹介された短歌です。長きにわたり都民の暮らしそっちのけで都政を混乱させてきた自公の罪は重い。政治とカネの問題は都政に限らず、国政でも根深い▼権力欲やカネにまみれた政治はもうたくさん。すでにメディアでは次の都知事候補の話題が取り上げられています。今度こそ、力を合わせて国政にも都政にも清潔で信頼できる政治を取り戻したい。