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2016年6月10日(金)

きょうの潮流

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 超法規的な治安対策を擁護するなど、過激な発言への批判が絶えないフィリピンのドゥテルテ次期大統領。米大統領選で共和党候補指名が確実な不動産王になぞらえて、「フィリピンのトランプ」とも呼ばれています▼しかし両者で全く異なるのが、イスラム教徒への態度です。「イスラム教徒は入国禁止」と言い放ったトランプ氏。一方、ドゥテルテ氏は、反政府武装闘争を続けてきたイスラム教徒に大幅な自治を認めて、フィリピンを連邦制国家にすると公約しました▼フィリピン国民の9割以上はカトリック教徒を中心にしたキリスト教徒。約5%を占めるイスラム教徒は、ドゥテルテ氏が市長を務めるダバオ市のある南部ミンダナオ島周辺に集中しています▼同じ東南アジア地域でも、マレーシアはイスラム教が国教でマレー系住民が6割を超えますが、華人系、インド系もいます。1969年にはマレー系と華人系の衝突で数百人の死傷者を出す暴動が発生。異なる民族と宗教の共存に向けた歴史的な教訓となりました▼そのマレーシアはフィリピン政府とイスラム武装組織の仲介者。ミンダナオ島を逃れてマレーシアで働く人が多く、情報技術専門家だけで1万人を超えるといいます。マレーシア外交官は「和平が実現すればフィリピンの発展に大きく道が開ける」と言います▼フィリピン現地紙は和平に期待するミンダナオ島住民の声を伝えています。「フィリピンは傷つくだけ傷ついた。次の世代にまで戦闘を引き継ぎたくない」


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