2016年6月8日(水)
「環境保護規制 企業に覆される」
米の450団体超 「TPP反対を」
全連邦議員に連名書簡
【ワシントン=島田峰隆】米国の環境団体など450を超える団体が6日、米国の全連邦議員に宛てて、環太平洋連携協定(TPP)の承認に反対するよう求める連名書簡を送りました。書簡は、同協定のもとでは政府が環境保護規制を設けても石油企業などが起こす訴訟で覆される危険があると警告しています。
名を連ねたのは、自然保護団体シエラクラブや環境NGO「350.org」などです。
書簡は、投資家対国家紛争解決(ISDS)条項による裁判は「国内法に責任を負わない裁判所」で「企業を代表する法律家」によって進められると指摘。今年1月にカナダ企業が、同社が提案していたパイプライン建設計画をオバマ米政権が却下したことで損害を被ったとして北米自由貿易協定(NAFTA)に基づき米政府を提訴する方針を示したことを例に挙げて、「危険は現実的なものだ」と強調しました。
書簡は、TPPを認めると、石油や天然ガスの掘削を行う多くの企業が訴訟の権利を持ち、「カナダ企業の例に倣う企業が増える」としています。環境保護のために、議会でTPP承認に反対し、米欧版TPPである環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)からISDS条項を削除するよう訴えました。
シエラクラブのイラナ・ソロモン貿易問題責任者は6日、「私的な裁判所で環境保護規制を無効にできる貿易合意だ。環境を懸念するならだれもが拒否するべきだ」と述べました。