2016年6月7日(火)
きょうの潮流
6月は沖縄にとって特別な痛みを共有する月です。日米の激しい地上戦によって県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦。その6割近くが6月以降に命を落としているのです▼沖縄本島に米軍が上陸した4月1日以降、住民を巻き込んだ戦闘は凄惨(せいさん)を極めました。5月末、ついに日本軍の司令部が置かれた首里に星条旗が掲げられます。事実上の決着。しかし泥沼の戦場は、さらに悲惨さを増していきました▼南部彷徨(ほうこう)。本土防衛のために持久戦を選んだ日本軍によって、住民たちは降り注ぐ米軍の砲弾と雨の中、行き場を失いさまよいます。NHKの沖縄戦全記録では、わずか1日で5500人が亡くなった日も▼県民の命を削りながら戦闘を引き延ばした日々。23日の「慰霊の日」をはじめ、沖縄の6月はその痛みがよみがえります。71年後の忘れられない月。沖縄では県議選がたたかわれ、またもや新基地建設ノーの民意が示されました▼元米海兵隊員が乱暴目的で女性を襲い、暴行を加えて遺体を捨てたと供述した事件。生々しい感情が渦巻く中、飲酒運転による衝突や大麻事件といった米兵、軍属の犯罪が相次ぎます。いくら綱紀粛正や防犯強化を叫んでも基地があるかぎり解決はしません▼安倍政権は相も変わらず「辺野古が唯一の解決策」とくり返しています。いまわしい記憶とともに地の奥までしみ込んだ沖縄の痛み。それは、米軍基地が居座る今も。悲しみと怒りの島に平和を取り戻すため、県議選の勝利を参院選へとつなげたい。