2016年6月5日(日)
共産 民進 社民 生活 豊かに発展 4野党共通政策
参院選で安倍政権に代わる政治を
小池書記局長に聞く
安倍政権打倒をめざし参院選で共闘する日本共産党、民進党、社民党、生活の党の4野党の「共通政策」が豊かに発展しています。その内容と意義などについて日本共産党の小池晃書記局長に聞きました。
共闘前進の大きな力に
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―「共通政策」をめぐってどんな経過があったのですか。
私たちは今度の参院選挙で、野党共闘の成功と日本共産党の躍進という二つの目標を掲げています。野党共闘では、32の参院1人区のすべてで野党統一候補が実現しました。その勝利のために私たちは全力をあげていく決意です。
たたかいを進めていくうえで非常に大事なのが、野党の「共通政策」だと思います。
2月19日の5野党党首会談では合意項目の一つに「安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする」ことが確認され、この会談を契機に野党共闘が大きく前進しました。この到達を踏まえて開かれた5月19日の野党党首会談では、「その他の共通政策について一致点を確認し、積み重ねていく」ことも合意されました。
党首会談合意を具体化する4野党書記局長・幹事長の協議は毎週行ってきました。その中で、安保法制=戦争法廃止は当然の前提として、4野党が共同提出した安倍内閣不信任決議案の提案理由が「共通政策」のベースになるのではないか、先の通常国会に野党が共同提案した15本の議員立法(別項)も「共通政策」になるのではないかということになり、それが一致して確認されたのです。
国政の広範な分野で野党の共通した政策がつくられたということは重要だし、1人区のすべてで自民、公明両党を打ち負かし、野党共闘を前進させるうえで大きな力になると思います。それは、複数区、比例区でのたたかいにも必ずよい影響をもたらすでしょう。
格差を是正 改憲反対
―具体的にどんな内容でしょうか。
大きな中身としては、これまでの安保法制(戦争法)廃止・立憲主義回復に加えて、次の三つがあります。
一つは、アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困の拡大を是正するということです。
これは、経済政策の大きなテーマになっていくと思います。労働者派遣法の改悪など、労働コストの削減によって国民生活がズタズタに破壊されて、貧困と格差が広がった。これをただしていくという、野党間での基本的な方向性が確認されました。
二つ目に、環太平洋連携協定(TPP)や沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治に反対するということです。
TPPそのものの是非について野党間の考え方の違いはあったとしても、「国民に十分な情報提供」を求めた「国会決議」に違反するようなやり方は容認できない。沖縄の基地問題でも、県民の声に耳をかさない強権的なやり方については容認できない―この立場を野党間で確認できたと思います。
三つ目に、安倍政権のもとでの憲法改悪に反対するということです。
安倍晋三首相自ら参院選で改憲を問うとしているし、自民党の選挙公約でも改憲が入っている。それに対し野党が明確に反対する。今後の論戦の大きな足掛かりになっていくだろうと思います。
共同法案で緊急に解決
―共同提出法案も「共通政策」ですね。
国政の各分野にわたる、豊かな中身です。
共同法案で求めているのは、緊急に解決しなければならない問題ばかりです。保育士の処遇改善、被災者の住宅再建の支援金引き上げ、長時間労働の是正、ひとり親家庭の子どもの貧困の解決などは国政上の重要なテーマになっています。
野党が共同で法案まで出した意義は大きいものがあります。法案は現行の制度をよく吟味し、財源の裏付けももたないと提出できません。そういう作業を野党間で行ったうえで出しているわけです。
もちろん、野党間で政策上の違いはありますし、可能なかぎり前向きの接点を見いだすよう、ひきつづき話し合っていかなければなりません。同時に、国政のさまざまな分野で、しかも国政上の焦点となる問題で多くの一致ができていることは重要です。ぜひ、こういった全体像を示して選挙をたたかっていきたいと思います。
―まさに大義ある共闘ですね。
安倍自公政権の野党共闘に対する「野合」攻撃は成り立ちません。「野党は共闘」という市民・国民の声に押されての野党共闘です。市民が求める共闘が野合であるはずがありません。
そして、その野党が国政上のさまざまな分野で政策的に一致をみている。これは自民、公明とその補完勢力による不当な「野合」批判に対する反撃材料として説得力を持つ中身になると思います。
4野党「共通政策」
▽安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回
▽アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困の拡大の是正
▽TPPや沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治に反対
▽安倍政権のもとでの憲法改悪に反対
野党共同提出の議員立法15本
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日本共産党、民進党、生活の党、社民党の野党4党が先の通常国会に共同提出した15法案は以下の通りです。((10)(13)(14)(15)は一部他党も共同)
【戦争法の廃止】
(1)平和安全法制整備法廃止法案
(2)国際平和共同対処事態法廃止法案
野党共同提出法案の皮切りとなった法案。安倍政権が昨年9月に強行した戦争法(「平和安全法制整備法」「国際平和共同対処事態法」)を廃止。
【介護・福祉職の賃上げ】
(3)介護職員等処遇改善法案
深刻な人手不足が続く介護・福祉職員の給与を月額1万〜6000円引き上げるため、助成金を支給します。事務職なども含め、全職種が対象。
【保育士の賃上げ】
(4)保育士処遇改善法案
待機児解消を図るため、保育士の給与を月額5万円引き上げます。幼稚園、児童養護施設や放課後児童クラブ(学童クラブ)などで働く人も対象。
【児童扶養手当の拡充】
(5)児童扶養手当法改正案
「貧困の連鎖」を断ち切るため、ひとり親家庭に対する児童扶養手当を、第2子以降は一律1万円増額。支給対象も20歳未満まで拡大し、大学進学を支援。
【残業時間の上限規制】
(6)労働基準法改正案
労使協定を結べば青天井となっている労働時間に法規制を設けます。次の勤務時間まで一定の休息時間を設ける「インターバル規制」を新たに導入。
【畜産農家支援の法制化】
(7)畜産物価格安定法改正案
畜産農家を支援するため、肉用牛・豚肉の販売価格が生産コストを下回った場合、差額を補てんする経営安定対策事業(通称・マルキン)を法制化します。
【住宅再建支援金の引き上げ】
(8)被災者生活再建支援法改正案
被災復興のカギである住宅再建を後押しするため、支援金の上限を300万円から500万円に引き上げます。
【選択的夫婦別姓制度の導入】
(9)民法改正案
選択的夫婦別姓を導入し、婚姻年齢を男女ともに18歳にします。再婚禁止期間を100日に短縮する政府案が成立しましたが、野党案は再婚禁止期間の廃止を3年後に検討するとしています。
【性暴力被害者の支援体制の確立】
(10)性暴力被害者支援法案
性暴力被害者支援計画の策定を義務付け、ワンストップ支援センターの整備促進などを図ります。
【性的マイノリティー(LGBT)に対する差別解消】
(11)LGBT差別解消法案
性的指向や性自認を理由とした差別的取り扱いを禁じます。職場や学校などでの差別を解消する方策を盛り込み、実効性確保のために主務大臣が指導や勧告などを行います。
【政治分野の男女共同参画推進】
(12)政治分野における男女共同参画推進法案
政党や候補者の自由を確保しつつ、国政選挙や地方選挙で、男女の候補者ができる限り同数となるよう努力義務を定めます。
【税制関連】
(13)法人税法改正案
(14)会社法改正案
(15)金融商品取引法改正案
資本金100億円超の法人の所得、法人税額等の公示をはじめ、上場企業役員の情報開示を強化します。