2016年6月4日(土)
米軍犯罪 起訴率18.7%
全国38.5%の半分 背景に裁判権密約
昨年、日本国内で発生した米軍関係者による一般刑法犯の起訴率が18・7%にとどまっていることが、日本平和委員会が情報公開請求で入手した法務省資料で明らかになりました。全国での一般刑法犯の起訴率(2014年)38・5%と比較して半分以下です。
資料は「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」というもの。それによれば、起訴17件に対して不起訴は74件に達しています。強姦(ごうかん)や強姦致死傷5件、暴行10件はすべて不起訴になっています。
こうした低い起訴率の背景には、米軍の特権的地位を定めた日米地位協定があります。協定17条では、「公務中」の場合、第1次裁判権は米側にあるため、日本側に身柄を引き渡されない限り、起訴できません。実際、法務省資料でも「第一次裁判権なし」のため不起訴となった事件が4件あります。
一方、「公務外」の場合は日本側に第1次裁判権がありますが、1953年10月28日に日米合同委員会で結ばれた密約で、日本は米国に対し、特に重要と考えられる事件以外は裁判権を行使するつもりがないと約束しました。
法務省資料にも「第一次裁判権不行使」が20件明記されています。仮にこれらを起訴した場合、起訴率は約40・7%に上昇。一般事件なみになります。
沖縄県うるま市で発生した米軍属による女性遺体遺棄事件のような米軍関係者による凶悪犯罪の温床になっているのが、こうした特権的構造です。日米地位協定の抜本的改定に加え、密約の撤回が求められています。
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