2016年6月3日(金)
軍事研究推進に100億円 札束で学術界切り崩し
自民が首相に提言
自民党国防部会は2日、安倍晋三首相を訪ね、大学や民間企業を軍事研究に動員するための防衛省の資金提供制度を、「100億円規模へと大幅に拡充」することを求める武器政策提言を手渡しました。戦前への反省から、軍事研究に従わない方針をとってきた日本学術会議をはじめとする科学研究者らに対し、札束攻勢で切り崩しを狙う重大な動きです。
安倍政権は戦争法や武器輸出解禁の動きと一体に、“軍産学”で武器開発を進める国家体制への大転換を狙っています。首相は「しっかり政府で動くように指示していきたい」と応じました。
軍事研究への“呼び水”とされている防衛省の「安全保障技術研究推進制度」の予算規模は、2015年度の創設時で3億円です。提言は、これを一気に30倍以上へ増額を求める異例の内容です。
さらに提言は、国の科学技術政策の司令塔的な役割を担う総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍首相)の構成員に、防衛相を追加することも提起しています。また、国家安全保障会議(日本版NSC)と総合科学技術・イノベーション会議の両者に武器開発の司令塔機能を整備し、軍事技術開発の今後の方向性を定める国家戦略文書の必要性も指摘しました。
自民党提言の主な内容
○「防衛技術戦略」の策定
○有識者による国防科学委員会(日本版DSB)設立
○防衛装備庁の人員拡充
○武器研究開発予算の大幅拡充
○軍需企業の海外展開支援
○軍需産業組織の再編促進