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2016年6月2日(木)

隊列の父追い 子の涙 新千歳空港

南スーダンPKO派遣 陸自10次隊2陣120人

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写真

(写真)家族に見送られて出国する東千歳駐屯地の派遣部隊=1日、新千歳空港

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の第10次派遣施設隊の第2陣が1日、北海道の新千歳空港から出国しました。5月22日の先発隊に次ぐもの。陸上自衛隊北部方面隊の東千歳駐屯地の主力120人で、12月までの半年間、南スーダンの国連施設内の宿営地を拠点に「文民の保護、人道支援の環境づくり」などのための施設建設の任務につくとしています。

 派遣部隊は午後4時すぎ、家族ら250人に見送られ、日航機のチャーター便で出発。

搭乗ゲートにむかう隊列に、隊員の子どもたちがハンカチで涙をぬぐいながら父親の姿を必死で見つけ、追いかける姿がありました。

 南スーダンでは4月末に大統領派と反大統領派の前副大統領が暫定政府の樹立で合意しました。南スーダン情勢に詳しい専門家は「内戦で和平合意しても一夜で紛争状態になることはありうる。そうなれば自衛隊は軍事衝突に巻き込まれ危険にさらされる」と指摘しています。

 千歳市内に住む自衛隊員の母親(50代)は「第5次隊は現地が紛争状態になり、撤収計画をつくったが、政府は握りつぶしたといいます。しかし家族にはまったく知らされなかった。そんな危険な任務に子どもを預けられない」と不安をのぞかせました。

 日本共産党千歳市委員会はこの日、JR千歳駅前で「戦闘状態はPKO5原則に反しており、撤収しなければならない。市議会に撤収と派遣中止を求める意見書を提案している。市民の世論で撤収を実現させよう」と呼びかけました。

解説

北海道は現代版「銃後の守り」か

南スーダンPKOの第10次派遣施設隊の第2陣が北海道から出国しました。同PKOは「安全」とする政府の認識は大きく崩れています。政府は「停戦合意」「受け入れ国の同意」などPKO5原則は「維持されている」と繰り返してきました。

 しかし戦争法が施行された3月29日に驚くべき事実が明らかになりました。第5次隊の福知山駐屯地(京都府)の史料館に「日本宿営地に着弾した小銃弾」が展示されていたからです。

 政府は「安全は確保されている」と釈明に追われました。しかし日本共産党は国会で当時、第5次隊は「騒乱状態」に巻き込まれ、撤収計画を作成していたことを自衛隊内部文書によって明らかにしました。政府は同計画の存在を認めましたが、5原則違反を認めず、その後も派遣を継続しています。

 南スーダン派遣隊は陸自の五つの方面隊で分担しています。しかしこれまでのうち今回を含め北部方面隊の部隊が第1次、2次、6次と4回も派遣されています。

 イラク派兵も第1次、2次と連続しての派遣でした。北海道はさながら自衛隊の「海外任務供給地」の様相です。

 防衛省はそれを裏付けるように北海道に自衛隊の海外展開も視野にした「戦闘訓練拠点」構想の検討資料を日本共産党の笠井亮衆院議員の求めに応じて明らかにしています。北海道では北部方面総監の指示で全自衛隊員に「遺書」の執筆を強要し、海外任務などの隊員の留守家族を支援する協定の締結を自治体に求めるなど戦争法に呼応した現代版「銃後の守り」とも言える動きを強めています。

(山本眞直)


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