2016年6月1日(水)
「リーマン前に似ている」報道
安倍首相 今度は言い逃れ
“世界経済はリーマン・ショック前夜”との認識を示し、アベノミクスの失敗責任を「世界経済」に転嫁した安倍晋三首相。この態度に、国内外で批判が噴出する中、安倍首相は「報道はまったくの誤り」と今度は言い逃れをはじめました。
5月30日の自民党役員会。安倍首相は、伊勢志摩サミットで自らが示した経済の現状認識について、「私がリーマン・ショック前の状況に似ているとの認識を示したとの報道があるが、まったくの誤りだ」と言い放ちました。
しかし、サミット終了後の記者会見の冒頭、6回も「リーマン・ショック」という言葉を修飾語として使い、「〜の下落幅に匹敵」「〜よりも低い水準」「〜後初めての出来事」「〜以来最低」「〜以来の落ち込み」と繰り返したのは安倍首相自身です。
自民党役員会で「事実を説明しただけだ」と言い訳するものの、首相の頭にあるのは、まぎれもなく“世界経済はリーマン・ショック前”という認識です。
この経済の現状認識は、日本経済の実態と国民の実感、世界の常識からもかけ離れています。こうした認識をあえて示し、「リーマン・ショック」という言葉を繰り返したのは、日本経済が陥っている深刻な個人消費の落ち込みが自らの経済失政にあることを覆い隠し、「安倍不況」の責任を「世界経済」に転嫁する無責任極まりない態度です。
だからこそ、「安倍晋三の不安扇動がG7を驚かせる」と報じた仏紙ルモンド(5月26日付ウェブサイト)や、「安倍首相は世界経済に関して積極的に騒ぎ立てた」との英政府報道官の発言を紹介した英紙フィナンシャル・タイムズ(同27日付)はじめ、内外メディアがこぞって、「首相の経済認識」の異様さを報じました。
経済認識の誤りへの批判を恐れた安倍首相は、今度は、そうした報道に難癖をつけ、“私は言っていない”と知らんぷりを決め込もうというのです。
サミット後の記者会見で安倍首相は、「アベノミクスのエンジンを、もう一度、力強くふかしていかなければならない」とも語りました。経済認識が正反対のままで、すでに破綻が明白になっているアベノミクスをさらに推進するという安倍首相。残されている道は退陣しかありません。
(山田英明)