2016年5月30日(月)
米の平和運動組織など オバマ氏広島訪問を歓迎
核兵器廃絶へ具体策迫る
オバマ米大統領が現職の米大統領として初めて広島市を訪れたことについて、米国の平和運動組織やシンクタンクは、歓迎する一方で、核兵器廃絶に向けたより具体的な行動を求めています。(山崎伸治、ワシントン=島田峰隆)
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オバマ氏の訪日前に被爆者との面会などを求める署名を呼び掛けた「平和と正義のための連合」のジャッキー・カバソ共同議長(西部諸州法律基金事務局長)は27日、オバマ氏が「私たちの呼び掛けに応えて被爆者と会った」と歓迎しました。
保有弁明を批判
一方で「私たちが軍縮の美辞を大胆な行動で裏付けるよう求めたことには応えなかった」と指摘。広島での演説とは裏腹に「オバマ政権は冷戦終結後のどの政権よりも、減らした核兵器の数が少ない」と同政権の核政策を批判しました。
原水爆禁止世界大会にもたびたび代表を送ってきた「米首都圏ヒロシマ・ナガサキ平和委員会」は同日、声明を発表。オバマ氏が演説で「われわれが締結している同盟は、自身を守る手段を持つ必要がある」「私が生きているうちに、この目標(核兵器のない世界)を実現できないかもしれない」と述べたことをとらえ、核兵器保有を弁明していると批判しました。
ワシントンの民間研究所「軍備管理協会」のダリル・キンボール事務局長は、27日に発表した記事で「歴史的な訪問は核兵器の危険だけでなく“核兵器のない世界”というオバマ氏の目標達成に残された行動や課題を浮き彫りにした」と指摘しました。
提案何も示さず
オバマ政権が核兵器の近代化を追求していることや米国が包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准していないことを批判。「オバマ氏は広島で新たなイニシアチブや提案を何も示さなかった」と指摘しました。
民間研究所「スティムソン・センター」のレイシー・ヒーリー研究員は同日、「オバマ氏の演説は核軍縮へのいっそうの行動だけでなく、“道徳的な革命”を求めた」と評価しつつ、「自らの目標である“核兵器のない世界”に近づくにはまだ取れる行動がある」と指摘しました。