2016年5月30日(月)
NHK「日曜討論」 小池書記局長の詳報
日本共産党の小池晃書記局長は29日のNHK「日曜討論」で、伊勢志摩サミットとオバマ米大統領の広島訪問への評価、消費税増税再延期などの問題をめぐり、各党の幹事長(代理・代行)らと議論を交わしました。
オバマ氏広島
訪問前向きの一歩だが、核のない世界へ政策転換を
オバマ大統領の広島訪問について、自民党の棚橋泰文幹事長代理は「歴史に残る。安倍外交の成果だ。日米が協力して核なき世界をめざす」と発言しました。
小池氏は「現職の米大統領が被爆地広島を訪問したことは前向きの一歩」と評価すると同時に、「演説で『私の生きている間は(核兵器廃絶は)実現できない』と述べたことについては同意できない。段階的アプローチに縛られている。被爆者の願いにも背くものだ」と指摘。「大事なことは、今度の前向きの一歩を『核兵器のない世界』につなげることだ」として核兵器禁止条約の国際交渉を始めることを強調し、「米国政府も日本政府もこれに背を向けてきた。政策転換を強く求めていきたい」と語りました。
日米首脳会談
女性遺体遺棄事件――基地あるがゆえの犯罪、縮小・撤去を
日米首脳会談で沖縄県での元米海兵隊員による女性遺体遺棄事件が話し合われたことについて、自民・棚橋氏は会談で首相がオバマ氏に強く抗議したと語りましたが、対策については「日米でよりよく協議して再発防止を追及することだ」と述べるだけでした。
小池氏は、首脳会談でオバマ氏から謝罪の言葉がなかったことや、首相が基地撤去はおろか日米地位協定の改定すら提起しなかったばかりか、辺野古新基地建設が唯一の解決策だと述べたことを厳しく批判。「基地あるがゆえの犯罪です。『再発防止』はこれまで何度も言われたが、事件は後を絶たない。米軍基地の縮小・撤去、日米地位協定の抜本的見直しをやらなければ問題は解決しない」と主張しました。
民進・福山哲郎幹事長代理も、地位協定改定を首相が会談で提起しなかったことを批判。自民・棚橋氏は、地位協定の改定を求めたのかという民進・福山氏の質問に「あうんの呼吸があった」と答えて失笑を買いました。
サミット・世界経済
アベノミクスの失敗を世界経済のせいにする無定見・無責任
サミットで首相が世界経済の現状について「リーマン・ショック前と似た状況にある」との認識を示したことが議論となりました。民進・福山氏は「唐突感がある」と述べ、「世界経済は緩やかに回復している」とした月例経済報告との矛盾を指摘しました。棚橋氏は首脳宣言の「世界経済の見通しに下方リスクが高まっている」という部分を読み上げ、最大限の危機感を表していると語りました。
小池氏は「棚橋さんが読まれた前のところに『世界経済の回復が続いているが』と書いてある。これが基調です。棚橋さんは日本経済が良いが世界経済が悪いと言いたいのでしょうが、逆です。世界は回復しているのに日本が悪い」と反論しました。
そして、消費税8%増税の影響で個人消費が戦後初めて2年連続で落ちたことなどを挙げ、「リーマン・ショックという言葉を使うならば『アベノミクス・ショック』です。アベノミクス、消費税増税の大失敗を世界経済のせいにするのは本当に無定見・無責任、恥ずべき発言だ」と批判しました。
消費税増税再延期
きっぱり断念し負担能力に応じた税制を
首相が消費税増税を2年半延期するとの方針を麻生副総理らに伝えたことが議論となりました。
民進・福山氏は「アベノミクスは失敗したので増税延期をいうのなら国民は一定理解するだろうが、日本経済が良いが増税を延期するといっても国民は納得しない」と述べました。公明・斉藤鉄夫幹事長代行は再延期について「党として話をうかがっていない。与党の中でしっかり議論しないといけない」と語りました。
小池氏は「消費税増税で日本経済・国民生活を破壊しながら、その責任を認めず、アベノミクスはうまくいっているが世界経済が悪いから増税は先送りして2年半たったらやるという。こういう人たちに政権を任せるわけにはいかない。安倍首相の退陣・内閣総辞職が必要です」と強調しました。
そして「2度も延期せざるを得ないということは消費税増税路線が破綻したということです。これは断念すべきです」と主張し、負担能力に応じた税制、大企業や富裕層の税逃れの防止の必要を訴えました。
民進・福山氏や社民党の又市征治幹事長は、会期末(6月1日)直前になって安倍首相が方針転換したことを批判し、国会での審議を要求。福山氏は野党共同提出の消費税増税延期法案の審議を求めました。
自民・棚橋氏は「法案をもっと早く出すべきだ」と見当違いの批判をしたため、小池氏は、会期末直前に与党の中さえまとめずに増税再延期を言いだしたことが問題だと指摘し、「支離滅裂。無責任すぎる」と批判しました。
内閣不信任案
憲法無視、TPP、原発…山のようにある理由
野党は内閣不信任案を出すのかという司会者からの質問に対し、民進・福山氏は「30日に党首会談を開くが、まず予算委員会、党首討論を開いて審議すべきだ」と述べました。社民・又市氏も「(増税の)約束を果たせなかったのだから総辞職するのが筋だ」、おおさか維新・馬場氏も「国会への説明がないと信任というわけにはいかない」と主張しました。
これに対して自民・棚橋氏は「安倍政権への誹謗(ひぼう)しかない。われわれはこうするというのがない」と見当違いの反論を行い、公明・斉藤氏は「不信任の理由はない。粛々と否決する」と語りました。
小池氏は「まず総辞職をする。これが筋です。不信任の理由はないと斉藤さんはいいましたが、山のようにある。憲法無視、国会決議違反のTPP(環太平洋連携協定)、原発再稼働、そして消費税の問題だ」と強調。これまで国会で「こんな経済情勢で消費税増税できるのか」と追及してきたのに対し、首相は繰り返し「増税の方針に変わりはない」と答弁してきたことを指摘し、「こんな土俵際(会期末)ぎりぎりまできて、自らの失政にほおかむりする。こんな無責任な政治を許すわけにはいかない。安倍政権は倒さなければならない」と語りました。