「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年5月29日(日)

「テント村」閉鎖 とまどう被災者

子が発達障害「避難所居られない」

熊本・益城町

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 熊本地震で被災した約400人が寝泊まりしている熊本県益城町の総合運動公園に設置された「テント村」をめぐって、町が31日に閉鎖することを利用者に通知しています。町の担当者は「高温多湿の環境で熱中症になる恐れがある」として避難所への移転を求めていますが、さまざまな事情を抱えた避難者からは「避難所での生活は不安が大きい」との声も上がっています。(丹田智之)


 「避難所に入れない理由を伝えても別の避難先を紹介してもらえなかった」と悔しがる女性(46)は、発達障害のある息子(12)とテント生活を続けています。被災直後は避難所で一夜を過ごしましたが、音や環境の変化に敏感な息子がパニックになり「避難所に居られなくなった」といいます。

 女性の自宅は応急危険度判定で「要注意」と書かれた黄色い紙が張られ、壁が壊れるなどして住むことが困難な状態です。

 「避難所は怖かったけど、テントの中では安心して寝られた」と笑顔で話す息子の横で、女性は苦しい胸の内を語りました。

 「私たちが安心できる居場所を提供してほしい。テント村が閉鎖されるなら、遠くても町外のアパートを借りて生活するしかない」。

 テント村は、登山家の野口健さん(42)を中心とするNPO団体が全国の自治体に協力を求めて4月24日に開設。被災直後から車中泊を余儀なくされ、エコノミークラス症候群を懸念する被災者らを受け入れました。

 避難所と比べてテント村にはプライバシーが守られるなどのメリットもあります。

 野口さんは、熱中症などの懸念に理解を示しながらも「テントで生活している人たちの思いとのギャップがある」と指摘します。

 テントで寝泊まりしながら支援を続ける運営スタッフの男性(26)は「次の避難先が決まらないうちに閉鎖の話があり、不安が広がってしまった」と話しました。

「意向尊重を」共産党が要請

 益城町災害対策本部は熊本市東区の「うまかな・よかなスタジアム」など町内外6カ所の施設を移転先として用意し、13日から移転についての希望を調査しはじめました。

 町の担当者は「余震の恐怖などを理由に『建物に入りたくない』との声があることは把握している」と認める一方、31日までの退去を促しています。

 日本共産党の山本伸裕県議と党益城支部は18日、一方的な移転・退去を迫るのではなくテント避難者の意向を尊重するよう西村博則町長に申し入れました。

 6月から同町の総合体育館の避難所に移転することを決めた女性(62)は「自宅が全壊し、まだ震度7の恐怖が頭から離れません。避難所では長く生活したくないので、早く安心できる仮設住宅に移りたい」と話しています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって