2016年5月29日(日)
国会最終盤 緊迫
与党内で消えない解散説
4野党 党首会談で結束の構え
6月1日に会期末を迎える通常国会は、7月10日投票予定の参院選に、解散・総選挙をぶつける衆参同日選の可能性も消えておらず、緊迫した情勢となっています。
安倍晋三首相は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)後の27日の記者会見で、来年4月からの消費税10%増税について「是非を含めて検討し、夏の参院選挙前に明らかにしたい」と明言しました。首相は“10%増税先送りの是非”を理由に2014年末に解散に打って出たこともあり、再び解散風が浮上しています。
報道の根拠は
一方で、国会最終盤に入り報道各社は「同日選見送り」と報じています。自民党内にも「内閣や自民党の支持率が高くなるなか衆参ダブルとせず、参院選単独でもある程度与党が勝てる見通しだ。無理してダブルにすることはない」、「(与党が維持している)衆院の3分の2の議席を失うから、やるべきではない」などの消極論が強いのは確かです。関係者によると、自民党選対や財政部門の動きはなく、「通常なら選挙にはならない」という状況もあります。
しかし、自民党関係者の一人は、「首相官邸は、参院選に向けて野党共闘が広がる中、相当厳しいたたかいになることを踏まえ、野党分断に最も効果的なのは衆院解散をぶつけることだと考えている」と指摘。報道各社に「同日選見送り」論を流しているのも官邸筋で、「メディアの議論にそれほど根拠があるわけではない」と述べます。
同日選の空気が漂うなか、首相と公明党の山口那津男代表の与党党首会談が頻繁に繰り返され、相互支援をめぐり綿密な調整が行われているとされます。関係者は、「オバマ米大統領の広島訪問を受け、週末の情勢調査で支持率が上昇すれば、一気に突っ込む可能性はある。熊本地震で解散への批判もあるが、できないことはない」と述べます。
首相が通常国会を年初の1月4日という異例の早期召集にしたのも、伊勢志摩サミット、消費税増税再延期などを「カード」として使って、同日選実施を大きな選択肢の一つとする戦略とされています。今はまさにその渦中で、最終判断はこれからです。別の関係者は「先へ行って情勢がよくなるということはない。リスクがあっても、オバマ広島訪問で首相が高揚した『今』になるかもしれない」と述べます。
ぎりぎり判断
首相は、政権・与党幹部を集めて、週をまたいで最終的な情勢判断を行おうとしています。与党内からも「野党の会期末の不信任案提出に合わせ、解散も視野」という声が出ます。
戦争法廃止・立憲主義回復で安倍政権打倒を目指す野党共闘は、与党にとっても「想定外」の前進を見せています。日本共産党、民進党、社民党、生活の党の4野党は週明けに党首会談などを開き、結束をさらに固める構えです。
ぎりぎりの判断をめぐり、「自公」対「野党プラス市民」の対決は重大局面を迎えています。