2016年5月27日(金)
伊勢神宮で首脳出迎えの異様
安倍晋三首相が伊勢神宮で主要7カ国(G7)首脳を出迎えたことは、政治と宗教の関係や、歴史問題とのかかわりで深刻な問題を投げかけています。安倍晋三首相は、「日本の精神性に触れていただくには良い場所」として、同神宮でのG7開催にこだわってきました。
伊勢神宮は、天皇家の氏神である天照大神を祭る宗教施設であり、戦前、「日本は神の国」とする国家神道の頂点にあり、靖国神社と並んで軍国主義推進の精神的支柱だった存在です。例年の首相や政治家の参拝は、政教分離原則からも問題があります。
同神宮が「日本の精神性」を代表するとすること自体、特異な歴史観に連なります。そこに世界のリーダーを集めて会議を開くことの異様さを指摘する声があがるのは当然です。
英誌『エコノミスト』(電子版21日付)の論評は、「戦後レジーム(体制)からの脱却」という安倍首相の生涯をかけた使命にとって、「巧妙な選択」だと指摘。オバマ米大統領の広島訪問などに比べ、伊勢神宮での行事はさして議論にならないだろうとしながら、G7は、戦前の政治家が「侵略的帝国主義の道具」とした神道に国際的尊崇のバッジを与えることになるとしました。
伊勢神宮の大宮司は、改憲右翼団体・日本会議の顧問を務めています。