2016年5月27日(金)
特区で保育規制緩和
参院内閣委 大阪府の待機児対策
山下氏が追及
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日本共産党の山下芳生議員は26日の参院内閣委員会で、大阪府が「待機児童解消対策」として「国家戦略特区」をテコに、保育所の最低基準(設備運営基準)を事実上廃止しようとしている問題を追及しました。
大阪府の提案は、特区内では「認可保育所の設置運用にかかるすべての要素について、自治体の判断と責任で決定したい」として(1)職員に占める保育士の割合(人員配置基準)(2)施設の面積基準の緩和―を求めています。
山下氏は、最低基準が制定から70年近くたってもほとんど引き上げられてこなかった経緯や、日本の面積基準が世界最低水準であることを確認した上で、大阪府の提案は「ぎりぎりの最低線をさらに引き下げるものだ」と指摘しました。
さらに、資格を得て専門性をもつ保育士の重要性に言及し、「提案は『質の担保措置をとる』としているが、資格をもつ主任・担任がいれば他は無資格者でもいいと読める」と指摘。保育士の割合が少ない認可外保育施設では子ども1人当たりの死亡事故の発生率が認可保育所の60倍になっていることを示し、「子どもの安全・発達に直結する最低基準の緩和は、特区であっても認めてはならない」と迫りました。
石破茂国家戦略特区担当相は、大阪府の提案について「厚労省と検討する際の大前提は、保育の質を低下させないことだ」と答弁。山下氏は、大阪市の保育施設経営者が「この緩和は、認可保育所を死亡事故が起きている施設に近づける」と話していたことを紹介し、待機児童の解消は「土地の確保と保育士の待遇改善こそ」と主張しました。