2016年5月23日(月)
熊本地震 支援もっと
全国から 被災学生も
ボランティア50人頑張る
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阿蘇村黒川地区
熊本地震で震度6強を記録し、山の斜面が大規模に崩落するなど大きな被害が生じた熊本県南阿蘇村の黒川地区で22日、全国から支援に駆け付けた約50人のボランティアが全半壊した家屋の片付け作業に取り組みました。
倒壊した学生アパートの大きなガレキを重機で取り除いていた岐阜県中津川市の男性(48)は「専門の免許を持っているので、災害の時には自前の重機を運び、人力では難しい作業を手伝っています」と話しました。
「東日本大震災の経験を生かしたい」と語る宮城県石巻市の男性(52)は、4月29日からテントで寝泊まりしながら活動を指揮しています。「東北の被災地から熊本の被災地へ『どん底に落とされても、全国の支援があれば大丈夫ですよ』と伝えたい」と日焼けした顔に笑みを浮かべました。
同地区には東海大学阿蘇キャンパスがあり、被災前は68軒の寮とアパートに約800人の学生が生活していました。4月16日の本震では3人の学生が犠牲になりました。
同キャンパスの学生は、自らも被災しながら救援・復旧活動に奮闘しています。
福岡県の実家からボランティアとして同地区に戻り、倒壊した学生アパートから家財を運び出していた農学部の4年生(21)は「被災した時はアパートの1階にいて、慌てて外に出て助かりました。体力には自信があります。地域の再建のために力を合わせたい」と額の汗をぬぐいました。(丹田智之)
火も包丁も使えぬ
通知示し「適温と栄養を」
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共産党の熊本市議
熊本地震発生から1カ月以上たっても、避難所で温かく栄養のバランスのとれた食事が提供されていないことが大きな問題になっている被災地、熊本。被災者の声と日本共産党国会議員団の国会での追及に押され、政府は20日、「避難所における食生活の改善について」とした内閣府政策統括官(防災担当)名の通知を熊本県に出しました。
日本共産党の上野美恵子熊本市議団長は21日、政府通知を報じた「しんぶん赤旗」21日付を携えて熊本市内の避難所などを訪問。内容を伝えて、要望を聞き取りました。
市内の白川小学校体育館の避難所では、1日3食の食事が提供されてはいますが、5月10日に小学校が再開して以降、「子どもを危険にさらさないため」との理由で火も刃物も使用できなくなっているといいます。
被災者は「使えるのは電気炊飯器と電子レンジのみ。野菜の調理ができないのが悩みです。温かい汁物などは、知り合いの飲食店に依頼して調理したものを運んでもらっている」と語りました。
これに先立ち、上野市議は熊本市中央区役所を訪ね、萱野(かやの)晃区長に面会。通知の通り、すみやかに温かい栄養のある食事を被災者全員に提供するよう求めました。(原田浩一朗)
罹災証明に不満も
一部損壊判定でも「とても住めぬ」
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益城町の特設会場
熊本地震で住宅に大きな被害が出た熊本県益城町で罹災(りさい)証明書の交付が20日から始まり最初の日曜日となった22日、会場の「グランメッセ熊本」の特設テントに、朝から多くの被災者が詰めかけました。
午前9時の開始前には300枚を超す整理券が配布されました。職員は、被災者にパソコン画面で判定理由などを説明しました。
午前7時前に並んだ男性(67)は、自宅が「全壊」とされました。「全壊で支援が手厚くなるのはありがたいが、支援金の300万円だけじゃ家が建つわけないし、この年齢になるとそれも難しい」と複雑な表情を見せました。
「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」により、被災者への支援内容が変わるため、判定に納得できない被災者もいます。
妻と1歳の娘を連れた会社員男性(26)は、住んでいるアパートが「一部損壊」。「地盤はボロボロだし、下の階の扉は開かない。とても住める状態ではない」と言います。職員から「判定が大きく変わらないかもしれません」と告げられながらも2次調査を申請。仮設住宅にも申し込みました。
「みなし仮設」の制度を利用する予定の男性(65)は「全壊」でした。今年3月に退職したばかり。「新たなスタートがしやすいように、被災者への支援金を増やしてほしい。支援金を引き上げる法案を野党4党が提出したのを知っているよ」と語りました。
同町では20日までに罹災証明書の申請が1万794件ありました。 (唐沢俊治、中東久直)