2016年5月23日(月)
きょうの潮流
自腹には懐をたとえる意味があります。「自腹を切る」とは身銭を切ると同じ。江戸時代から使われ、どんな事情があるにせよ出費は痛手で喜んですることでもない。そこから武士の切腹を連想したのかもしれません▼さもしい、せこい、みみっちい―。いま都民から批判を受けている舛添都知事も人一倍、自腹を切ることがお嫌いらしい。美術品の購入や家族旅行、家賃や車まで。政治資金で賄ったとされる疑惑が生活のあちこちから噴出しています▼もっとも自腹を切ることには、自分が負担する必要のないものまで自分のお金で支払う、という意味合いもあります。しかし、この人の場合は自分のお金を出さなければならないときにも公金を使うのですから、たちが悪い▼先の記者会見では数々の疑惑にまったく答えず、すべて「第三者の目で見てもらう」と。だいたい、自分のお金も他人のお金も区別できないようでは都民の生活をあずかる都政を担う資格はありません▼こんな人物を知事に推した自民党や公明党の責任も重い。「日本の首都のトップに立つ者としては、それなりの居ずまいがなければいけない」(自民・谷垣幹事長)などと人ごとのようですが、カネまみれの土壌をつくってきたのは他ならぬ自民党政治です▼舛添知事の一連の疑惑は共産党都議団が追及した豪華海外出張の問題から始まりました。企業・団体献金も政党助成金も受け取らない清潔な政党。おかしいと感じたその指摘は、庶民の目線と同じだからでしょう。