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2016年5月23日(月)

主張

拡大する燃費不正

“もうけ第一”の体質を改めよ

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 消費者が自動車を購入する際、価格やデザインに加え気になるのが燃費などの性能ですが、その燃費のデータが長年にわたって偽装され販売され続けていたとなると、それは文字通り国民を裏切る行為です。燃費偽装が最初に発覚した三菱自動車の偽装は拡大して、ほとんど全車種に広がっています。社長が引責辞任を発表しましたが、それぐらいで怒りはおさまりません。軽自動車メーカーのスズキでも偽装が明らかになりました。安全性や経済性を後回しにして、“もうけ第一”で国民を脅かす、大企業の不正行為は許されません。

机上の計算などで水増し

 三菱自動車の燃費偽装は最初、同社が生産し自社製として販売したり、日産に納めて日産が販売したりしていた合計4車種の軽自動車についてでした。自動車が一定量の燃料でどのくらい走行できるかの燃費の計算で、国の規定で定められたのとは違う方法を採用し、しかも実際に走行させるのではなく、机上の計算などで算出していたというものです。データを改ざんした例もあり、偽装は悪質です。屋外で行うべき測定を屋内で行ったなどのスズキのデータ偽装もほとんど全車種です。

 偽装は会社ぐるみで長期にわたっており、三菱自動車は軽自動車の生産を中止、経営再建のため、日産から巨額の支援を受け入れ、事実上傘下に入るなど、まさに企業としての存続が脅かされる事態に発展しています。

 自動車の燃費はガソリンなどの消費量に直結し、自動車の安全性や経済性、環境への負荷などに関係するため、その引き上げへ各メーカーがしのぎを削っています。多少割高でも燃費のいい車をと購入した人も少なくありません。競争が厳しい軽自動車ではとくに激烈です。燃費がいいと税金などの優遇も受けられるため、その偽装は利用者だけでなく、国民全体をも欺くことになります。

 三菱自動車は国土交通省への報告のなかで、「経営陣からの強い燃費向上の期待を背景として」(同社プレスリリース)、偽装が行われるようになったとしています。実際の安全性や経済性より競争に勝ち、利益を上げることを重視する“もうけ第一”の極みです。

 重大なのは三菱自動車の場合、過去に製品の回収が必要な「リコール」や欠陥を隠し、それが原因となった死亡事故まで起こして批判されてきたのに、今回また燃費の偽装を防げなかったことです。開発部門の改革が遅れたなどの指摘もありますが、問題の原因を担当者や担当部門に押し付けることはできません。偽装がいつから、だれの指示で行われてきたか、事実の究明と責任の明確化が不可欠です。

不正防ぐ国の責任形骸化

 不正がまかり通らないようにするには、国の責任が重要です。ところが燃費問題では、国の検査はメーカーが提供するデータをそのまま使うなど、検査体制の形骸化も明らかになっています。政府が原因究明とともに、不正を根絶する責任を果たすべきです。

 自動車業界だけでなく、マンション建設でのくい打ち偽装や羽田空港などでの液状化対策の改ざんなど、大企業の不正が後を絶ちません。国民の安全を脅かす大企業の不正根絶のため、企業まかせの姿勢は根本的に改めるべきです。


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