2016年5月22日(日)
野党共闘、参院選をめぐる情勢について
全国革新懇総会 志位委員長の特別発言
日本共産党の志位和夫委員長は21日、都内で開かれた全国革新懇の総会で「特別発言」を行い、野党共闘の到達点と課題について語りました。
政治的旗印―戦争法廃止・安倍政権打倒から暮らしの問題まで共通政策を豊かに
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志位氏は、「『野党は共闘』を求める市民の運動に背中を押されて、野党共闘が大きく前進してきました」と述べ、到達点と課題について三つの角度から報告しました。
第1は、「政治的旗印」についてです。
5野党党首会談(2月19日)で「安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする」「安倍政権打倒を目指す」ことが合意され、野党共闘の土台が据えられたのに続いて、4野党党首会談(5月19日)で、「来年4月からの消費税10%への引き上げに反対する。その他の共通政策について一致点を確認し、積み重ねていく」ことが合意されました。
志位氏は、今国会で安保法制=戦争法廃止法案を筆頭に、社会保障、雇用、子育て、男女平等、被災者支援、税制など幅広い分野に及ぶ13本もの法案を野党が共同提出したと紹介し、「当然、これらの内容は(参院選での)『共通政策』になりうるものだと考えています。野党共闘の政治的旗印を、切実な暮らしの問題も含めて、個人の尊厳を擁護する政治という大きなキーワードのもとに、より豊かなもの、色あざやかなものにしていく努力を引き続き行っていきたい」と表明しました。
参院1人区―32全区での野党統一候補が視野に入り、対決構図が浮き彫りに
第2は、全国32の参院選1人区での選挙協力についてです。
志位氏は、すでに29選挙区で野党統一候補の擁立が実現し、残りの3選挙区でも大詰めの協議を行っているとして、「全32選挙区での野党統一候補実現が視野に入ってきました。この方針に踏み出したときに、ここまで野党共闘の体制ができるとは、想像もしていませんでした。これも市民の運動の後押しがあったからです」と述べ、「『自公と補完勢力』対『4野党プラス市民』という選挙戦全体の対決構図がはっきり浮き彫りになりました」と強調しました。
さらに志位氏は、香川選挙区では日本共産党のたなべ健一予定候補を野党統一候補にすることを話し合ってきたこと、民進党が20日、同党推薦候補を取り下げ、野党陣営が一本化される方向になったと報告し、「尽力してこられたすべての関係者のみなさんに敬意と感謝を申し上げたい」と表明しました。そのうえで、「選挙協力は、相互に支援してこそもっとも力あるものになります。田辺さんが野党統一候補として確認されれば、全国32の1人区の野党共闘にとって、きわめて大きな積極的インパクトを与えることは間違いありません。そういう方向に着地するよう引き続き努力したい」と述べました。
志位氏は、「野党統一候補の実現は、もとより(選挙戦の)スタートラインに立ったということにほかなりません」と強調。自公陣営が危機感を燃やし、野党共闘と日本共産党への卑劣な攻撃に出ていることにもふれ、激戦を必ず勝ち抜く決意を表明。衆院北海道5区補選(4月24日投票)で池田真紀候補が自民党候補をあと一歩のところまで追い込む大健闘をしたことは「野党と市民がしっかり力を合わせれば、自民党を倒すことができるという希望を与えてくれました」として、「これを全国的な規模で大きく発展させ、32のすべてで勝利するために頑張りぬこうではありませんか」と訴えました。
衆院小選挙区―党首会談での合意を踏まえ、もっとも効果的な共闘体制を築く
第3は、衆院小選挙区での選挙協力についてです。
19日の4野党党首会談で「衆院選について、できる限りの協力を行うこととし、その具体化を加速する」ことが合意されました。
志位氏は「極めて重要な合意です」と強調。安倍晋三首相が衆参ダブル選挙を行うとの観測が絶えず流されていることに言及。「私たちは、ダブル選挙は憲法に照らして邪道と批判してきましたが、安倍首相は邪道を邪道と思わない。ダブル選挙への真剣な備えが必要です」と述べました。
志位氏は、「仮にダブル選挙となると、残された時間は少ない」として、「速やかに(野党間の)協議を進めて『具体化を加速』し、安倍政権を倒す上でもっとも効果的な共闘体制を築くために知恵と力を尽くしたい。仮にダブル選挙になったら、衆参ともに自公とその補完勢力を少数に転落させるために、積極果敢なたたかいをやりぬく決意です」と表明しました。
第1の決断―「国民連合政府」の提唱と全国的規模での選挙協力を呼びかける
志位氏は、「野党共闘の前進は、戦後かつてない市民運動の発展に背中を押されたものですが、同時に、日本共産党がその前進に貢献したということがいえると思います」と述べ、この間、野党共闘の前進のために日本共産党が「二つの決断」を行ってきたことを語りました。
第1の決断は、安保法制=戦争が強行された昨年9月19日、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の提唱と、野党の全国的規模での選挙協力という、党の歴史上でも初めての方針を打ち出したことです。
立憲主義の破壊という非常事態と、「野党は共闘」という市民の切実な願いを受け、「従来の方針のままではいけない。方針を発展させる必要があると考え、この提案をしました」と志位氏。「ここに踏み込み、粘り強く追求してきたことは、今日の野党と市民の共闘の前進に大きな貢献になったと考えています」と述べました。
第2の決断―野党共闘の前進のために「思い切った対応」を表明
第2の決断は、2月19日の5野党党首会談で4項目合意が達成されたことを受け、「参院1人区では思い切った対応を行う」と表明したことです。
志位氏は、「まずは野党共闘を前進の軌道にのせなくてはならない。そのためには、わが党が、最初から相互支援の原則を具体化することを提起したら、おそらくは前に進まないだろうと考えました。『かなりの人を降ろす』という決断をしてでも前に進めなくてはならないと考え、この表明を行いました」と述べ、「わが党は、この表明のとおり行動してきました。それが、その後の参院1人区での野党共闘の前進への大きな貢献になったと考えています」と述べました。
日本共産党の躍進―日本の政治の根本的転換、野党と市民の共闘の前進の確かな力
志位氏は、「日本共産党は、国民の共同=統一戦線を何よりも大切にし、共同の力で政治を変えることを一貫した信条にしている政党です。35年前に、日本の前途を真剣に考える無党派の方々、社会党関係者の方々とともに全国革新懇をつくったのも、こうした立場に立ってのものでした」と強調。
そして、「今回のわが党の野党共闘の方針が現実を動かしつつあるのは、2013年の参院選、2014年の総選挙で連続躍進させていただいたおかげです」と述べ、「日本共産党がさらに大きな躍進を勝ち取ることは、安倍政権の暴走を止め、日本の政治の根本的転換をはかるうえで重要であるとともに、野党と市民の共闘をさらに前進させ、新しい政治、新しい政府をつくるうえで、もっとも確かな力になります。それはまた、全国革新懇が掲げる三つの共同目標(生活向上、民主主義、平和)の実現に向けての大きな貢献になると考えています。そういうつもりで力のかぎり頑張りぬきたい」と躍進への決意を表明すると、会場から大きな拍手がわきおこりました。