2016年5月22日(日)
きょうの潮流
NHKのテレビ小説「とと姉ちゃん」のヒロインのまっすぐさが心地いい。女学校卒業を控えて大半の級友たちが“嫁入り”を意識する中、生計を立てるために働く道を探ります▼出合ったのが雑誌『青鞜』。女性解放を訴えた平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」の一文が背中を押してくれます。時は1936年(昭和11年)。軍部による二・二六事件が発生し、主人公の進路が気になるところです▼ドラマでは、ラジオが「軍民一体の態勢を」と政府や軍の発表をそのまま告げました。戦争へと駆り立てていった放送の歴史の一端がのぞきます▼今、NHKの籾井勝人会長が熊本地震にかかわる会議で「原発報道は政府発表で」と指示したことは重大です。実際に、NHKニュースが伝えてきたのは「原発には異常はありません」▼市民が参加する放送を語る会や日本ジャーナリスト会議が会長発言は「命とくらしを危険にさらす可能性がある」と強く抗議し辞任・罷免を要求。来年1月の会長の改選にあたっては「籾井氏の再任は絶対にしてはならない」と市民団体とNHK退職者有志らが加わり、経営委員会に申し入れをしました▼NHK問題を考える市民団体は16都府県に広がっています。国連人権理事会の特別報告者デービッド・ケイ氏は日本の表現の自由をめぐる状況に懸念を示し、原発報道についても政府の言うままを伝える動きを批判して、次のように提起しました。「メディアの変化の実現は市民がやらなければならない」