2016年5月20日(金)
盗聴乱用の危険 仁比氏追及
参院法務委
刑事訴訟法等改悪案を審議する参院法務委員会で19日、日本共産党の仁比聡平参院議員は、犯罪が将来起こるかもしれないと警察が考えれば不特定無制限に盗聴できる危険を示して、同法案の廃案を強く求めました。
仁比氏は「過去に起こった犯罪は日時と場所が特定できるが、将来、起きるかもしれない犯罪を特定するのは不可能だ。乱用の危険が高い」と指摘。「令状さえ出れば、本人に秘密のまま傍受ができる。特定性がなく、あいまい、ひそかに行う傍受のどこが限定されているのか」と強調しました。
法案では、「組織性要件」として、2人以上が役割分担して行う犯罪を盗聴の対象にしています。仁比氏は、令状で許された事件と別の犯罪についての会話も盗聴する「別件盗聴」に「組織性要件」があるのか質問。法務省の林真琴刑事局長は「ありません」と答弁しました。
仁比氏は「組織性すら問われず、さらに容易に傍受ができる。将来起こりうる犯罪を理由にした市民社会への監視、警察の干渉となり、きわめて危険だ」と指摘しました。
こうした「将来盗聴」の実施件数について尋ねた仁比氏に、警察庁の三浦正充刑事局長は「把握しておりません」と答弁。国会への報告義務づけを求める仁比氏に対し、岩城光英法相は「必要なものと考えていない」と述べ、乱用監視に背を向けました。
さらに、仁比氏は「運用で乱用を防ぐというのは、憲法と刑訴法の大原則を掘り崩すことだ」と批判しました。