2016年5月20日(金)
きょうの潮流
舞踊を愛好し、自身も太陽の役に扮(ふん)したことから「太陽王」と呼ばれたフランス国王ルイ14世。パリ・オペラ座バレエ団は、彼が創立した王立舞踊アカデミーを起源とします▼世界最古355年の伝統を重んじながら常に革新してきた名門バレエ団。世界をリードする存在に小さい頃から憧れつづけた日本出身の女性ダンサーが、バレエ界のアカデミー賞を受賞しました▼ナポレオン統治下のスペインを舞台にフランス人将校とロマの娘の恋を描く古典「パキータ」。その主役を務め、伸びやかな踊りが評価されたオニール八菜(はな)さんが、前年の作品で最も活躍したダンサーたちに贈られるブノワ賞に輝きました▼東京生まれのオニールさん。日本人の母とニュージーランド人の父をもち、3歳から日本のバレエ教室に通って基礎を学んだといいます。7年前に若手登竜門の国際コンクールで優勝。そして3年前、ついにオペラ座の正団員になりました▼幼い頃から指導してきた岸辺光代さんは「繊細な表現、優しさと謙虚さ、たゆまぬ努力のたまもの」と喜びます。いまや日本は4600ものバレエ教室、40万の人口をもつといわれるバレエ大国。多くのダンサーを世界に輩出している背景には、こうした民間教室と熱意ある指導者の支えがあります▼いま23歳のオニールさんは150人いるエリート集団の「第1舞踊手」。次は星を意味する最高位のエトワールをめざします。「役作りに励んで私らしい踊りをしたい」。新星の輝きはひろがります。