2016年5月19日(木)
主張
1〜3月期GDP
安倍失政の責任は動かし難い
来年4月からの消費税増税との関連で注目された今年1〜3月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表になり、物価変動を差し引いた実質で前期比0・4%増だったことが明らかになりました。マイナスだった昨年10〜12月期の反動や今年がうるう年だった影響があります。2015年度の成長率は0・8%にとどまり、個人消費は2年連続の減少です。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の破綻は明らかです。党首討論で日本共産党の志位和夫委員長が厳しく批判したように、安倍首相の失政の責任は動かし難く、消費税増税はきっぱり中止すべきです。
消費は低迷、投資も減少
1〜3月期のGDPの伸びは個人消費や輸出によるものですが、前期比0・5%の伸びとなった個人消費も名目ではマイナスになるなど、低迷は明らかです。一方、住宅投資や設備投資は落ち込んでいます。円安や減税で大企業のもうけを増やせば回りまわって消費も投資も増えるという「アベノミクス」の「トリクルダウン」(したたり落ち)の筋書きは、完全に破たんしています。
とりわけ志位委員長が党首討論でも指摘したように、一昨年4月に消費税の税率を8%に引き上げて以来の消費の冷え込みは深刻です。14年度マイナス2・9%、15年度マイナス0・3%と個人消費が2年連続マイナスになったのは初めてです。個人消費は増税前の駆け込み需要が明白になる前の13年10〜12月期に比べ8兆円も減っています。総務省の家計調査でも家計支出は2年連続マイナスです。直近の3月分でも勤労者世帯の消費支出は前年同月比で実質5・3%の大幅減少です。消費の低迷は否定のしようがありません。
安倍首相も、消費税増税後消費が予想以上に落ち込み、予想以上に長引いていることを認めています。しかし、なぜ「予想以上」になったのかという志位委員長の追及に、首相はデフレマインド(心理)が残り消費に慎重になっている、所得が改善しているので持ち直しが期待できるなどとごまかしています。「想定外」についてのまともな総括も反省もありません。
個人消費は「心理」だけで落ち込んでいるのではありません。消費税増税が国民の購買力を押し下げ、消費を冷やしているからこそ、消費の低迷が続いているのです。消費税増税の悪影響は明白です。安倍首相は所得が改善してきたように言いますが、実質賃金は消費税が増税される前から4年連続減少が続いており、10年を100とした指数で15年は94・6です。こんな状態で改善などとはとても言えません。
増税はきっぱり中止こそ
もともと一昨年の消費税増税は、労働者の賃金が減り続けるなかで増税を強行すれば、景気悪化の悪循環の引き金を引くことになるとの“警告”を無視して安倍政権が強行したものです。安倍首相の失政の責任は重大です。
志位委員長は、消費低迷の総括や反省がないだけでなく「景気判断条項」まで削除して来年4月から10%への再増税を狙うのは国民に対して全く無責任だと力を込めて批判しました。安倍首相は中止するとは口にしません。
増税そのものをきっぱり中止に追い込み、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革がいよいよ重要です。