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2016年5月18日(水)

取り調べ“可視化”に抜け穴

別件起訴後は記録せず

刑訴法等改悪案 与党 決強行狙う

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 取り調べを録画しなければいけない事件なのに、録画しなくていい?―。刑事訴訟法等改悪案が盛り込む“可視化”の重大な抜け穴がわかりました。自民、公明の与党が19日の参院法務委員会で採決強行を狙っていますが、許されるはずがありません。


 今回の法案は、日本弁護士連合会(日弁連)やえん罪被害者らが求める「全過程全面可視化」とはほど遠いものです(イメージ図)。

 法案は、殺人などの裁判員裁判対象事件などに限って可視化を義務づけ。こうした一部可視化では、捜査機関に都合がいい場面だけが裁判で使われる危険が指摘されています。

 そして、さらに大きな抜け穴があることが日本共産党の仁比聡平参院議員の追及で判明しました。

 4月14日の参院法務委員会では、栃木県の小1女児殺害事件(4月8日に有罪判決)での取り調べが、論戦の中心となりました。

 被告は、商標法違反で起訴された日に殺人を“自白”。同法違反の被告として勾留されたまま殺人容疑で警察から3カ月半にわたり取り調べをうけました。しかし、この3カ月半の警察での取り調べは録画などの可視化していません。

 被告は、可視化していなかった期間の取り調べで、ビンタなどの暴力や自白を強要されたと訴えています。

 同事件を取り上げた仁比議員に、法務省の林眞琴刑事局長は「別件起訴後の勾留中の取り調べは録音・録画義務の対象とはならない」と答弁しました。

 いっぽう、同法案に賛成の立場をとる日弁連の河津博史弁護士は「別件逮捕で起訴後勾留中に可視化対象事件の取り調べが行われた時は録画義務の対象になる」と、国会で発言。両者の解釈は、大きく違います。

 この抜け穴判明を受け、自由法曹団などの8団体は16日、法案の修正要求や反対表明することを日弁連に求めました。

 日弁連刑事法制委員長の岩田研二郎弁護士は「起訴後も勾留されている被告の取り調べを在宅調べと同じ任意捜査とする法務省の解釈は間違い。別件での勾留中に対象事件を調べると録画義務があり、別件起訴すると録画義務が消滅する不合理なもの。警察による自白強要は可視化されず重要な取り調べ部分が抜け落ちることになる」と指摘します。

図
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